淳は単車を走らせ帰って行った。
私も家に戻り、ソファーに腰をおろす。
私は携帯のランプの点滅に気づく。
メッセージを再生した。
とても強く吹く風の音と共に、声が録音されていた。
『大事なものをなくした。今日、午後会えないから・・・』
時間をだいぶ余らせたコンパクトなメッセージだった。
淳が何を失くしたのかは、私にはわからない。
クスブリという存在なのか、それとも物質的なものなのか。
なくした。
この言葉だけが頭の中でリピートされた。
徐々にマブタが重くなり、生暖かいソファーにうつ伏せになった。
耳のみでテレビのニュースを聞いた。
犯行に使われた拳銃の押収を大きく取り上げている。
再び、ダレタ右手で持っている携帯から声が漏れ出した。
自動的に2件目の録音を再生し出していた。
『先ほどは、ご来店ありがとうございました。野見山の姉です。
淳君から聞いています。淳君から預かったものを、今日そちらに向かう純に渡して下さい。
ご迷惑をおかけ致します。』
頭の中が真っ白になった。
テレビの音が聞こえなくなっていた。
私が知っている限りの情報では・・・、確かに野見山と淳はもはや、堂々と接触できる仲ではない。
私は淳から何を預かったのだろう。
それはさておき、野見山が私のもとを訪れるといった内容に驚愕した。
全く聞いていなかった。
野見山はいつ来るのか?
私はテレビを消そうと顔を上げた。
『おせーじゃねーか、コラ。どうなってやがる?』
夜はもう明けかけていた。
第17話に続く。