旅人の聖地、カオサン通り(カオサンロード)と隣接するランブトリ通り。
ここの通りの一角にある、少し洒落たオープンテラスのバー「Molly bar(モリー・バー)」で、ストリートミュージシャンがギターを奏でていた。
あたりの騒音に強く逆らい、奏でられるその曲は、私の知らない曲ばかりだった。おそらくタイでは有名な曲なのかもしれないがその曲を私は知らない。
私は、「Molly bar(モリー・バー)」のオープンテラス席の近くのテーブルに腰掛け、横目で彼らのことをみながら、彼らの音楽を流すように聴いていた。特別心に残る曲はなかったが、一人旅ということもあり、音楽や人々の活気ある騒音にふれることで、寂しさを懸命に紛らわせていた。
私は、迷っていた。そして、焦っていた。
これからどこにいこうか。どこにむかおうか。そんなことを真剣に考えていた。目的もなく、旅に出たいという衝動で、ただ片道の航空券をにぎりしめ、この地カオサンにきた。
だが目的もなく、当てもない私の旅は、はじめての地にきてなお、旅を始めることが出来ないでいた。
このまま帰ろうにも帰れない。
私は途方に暮れていた。
すると、どこかで聴いたことのある歌が聴こえてきた。
それは、世界的に有名なグループがうんだ、ある名曲だった。途中までギターを弾くと、一旦演奏をやめ、頃合いを見計らいまた奏でだした。
お客はそのはじまりの演奏で、何の曲か気がついたのか、曲のはじまりの時、あたりは静まり返った。
ミュージシャンはそれを見計らったかのように、静まり返ったタイミングで歌いだす。
・・・優しい歌声だった。
・・・
曲が終わると、私はその曲を口ずさんでいた。
「LET IT BE…LET IT BE…」
なすがままに。なすがままに。。。
・・・
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