旅に出て3日目だったか。
私はついに重い腰を上げ、この地を後にすることにした。カンボジアに行こう。アンコールワットがみたい。
3日目にしてようやく、旅をする準備ができた。はじめての旅はそんなものだと思うが、私の場合は勝手が違い、何せ、何も情報がない状態での旅だった。
だが、この情報がない状態での旅はある意味、刺激に満ちあふれた旅だったといえるかもしれない。
何故なら、みるもの、たべるもの、全てが新鮮だったからだ。事前に情報がないまっさらな状態だった分、新しい何かに出逢ったときの、その感動は計り知れないものがあった。
世界には、こんなに知らないことがあったんだ。まるで、子供のように、私は、笑い、はしゃいでいた。
例えばカオサン通り(カオサンロード)ひとつにしても、感動はあった。事前にカオサンとはどんなところなのか、その写真さえも目にしたことがなく訪れたため、まるで映画のワンシーンで登場しそうなその光景に私は息を飲んだ。
夜にこの地についたこともあり、通り一面を照らす様々な装いのネオン。その通りを埋め尽くすような人の群れ。そしてそこかしこで聴こえてくる人々の笑い声や音楽。また大道芸人のパフォーマンス。言葉も通じない国だからこそ、味わえる感動がそこにはあった。
私がなぜ、カンボジアにいこうと思ったのか。理由はなく、壁に貼られたポスターをみて行ってみたいと思ったからだ。
そう、私はその時、はじめて「自由」を手にしたのだ。
