少女が、恋をしました…
村に初めてやってきた学校の先生に
初恋って、覚えてますか?
ワタシにとってはもう30年以上も前のことになりますが、そのときの淡い想いは、大人になってもココロのどこかに残っているものなのですね…そんな甘酸っぱいような、懐かしいような気持ちが、また、よみがえってきました。あの人は、いまも元気にしてるでしょうか…。
いまでこそ、想いを伝えるツールは沢山あります。電話だったりLINEだったり、会いたいと思えばすぐに飛んで行けるし、ある日突然、何年も疎遠になっていた人とSNSでつながったりもします。
むかしは、なんだか、誰かを好きになっても、もどかしかったですよね…想いばかりがつのってしまって。中学生のころは、ワタシが好きになった男の子は遠くに引越してしまったので、よく手紙を書いていたのを思い出します。何日も何日も、待ちこがれてようやく届いた返事の手紙は、何度もくり返し読みました。まだ、なんの汚れも知らなくて、ワタシも純粋でした(笑)
父親の葬儀のために、久しぶりに故郷に戻ったルオが、部屋で父と母の写真を見て、かつて母から聞いたことのある2人の出逢いの物語を思い出します…。
ひと目で恋に落ちてしまった先生への、少女のまっすぐな想いが、ピュアで微笑ましくて、懐かしい。わざわざ遠くの井戸まで水を汲みに行ったり、先生が通るかもしれない道で待ちぶせしたり。姿を見かけて、目でも合おうものなら少女はキラキラ満面の笑顔になります。
街に連れ戻されてしまった先生の帰りを待って、街から村へと続く道に来る日も来る日もたたずむ健気な姿には、チクンと胸が痛みます。
ワタシだって、かつてはこんな風に、ただ目が合うだけで幸せを感じることができた頃があったはずなのに…大人になって、世の中も便利になると、人はどういう訳か、欲張りになってしまうのですね。
恋愛結婚は当時まだめずらしいことのようでしたが、やがて2人は結婚します。
映画ではその後の2人について描かれていません。決して裕福な生活ではなかったでしょうが、息子のルオが生まれ、大学にやり、それでも2人の間にはずっと愛があったのでしょう…。父の死を嘆き、泣いて過ごす母の姿を見れば、ルオもこれから妻になるであろう女性をきっと大切にしていくと思います。
あんな風に、初恋の想いがずっと続いて、ひとりの人を愛したまま歳を重ねていけるのは幸せなことです。
年が明けて半月もたって、ようやく映画館に行くことができました。
映画の、幸せな余韻にひたっています。
(午前10時の映画祭7 にて)