事故で全身不随となり車椅子生活を送っている大富豪フィリップと
スラム出身の黒人青年ドリス
住む世界の全く違う2人の間に
ユーモアに富んだ…とんでもない最強の友情が生まれる・・・
介護士面接にやってきたドリスが求めていたのは
仕事ではなく…失業手当をもらうための「不採用通知」
医療知識などゼロに等しい上 秘書に色目は使うしやりたい放題
しかしフィリップはそんな場違いなドリスを採用します
全身不随という大きな障害を負ったフィリップ
人の手を借りなければ自分で出来ることは何ひとつない…
そんな彼には当然のように同情の目が集まり
腫れものに触るように誰もが必要以上の気を使うので
それに嫌気がさせばどうしたって偏屈なわがままジジイと化すわけです
ひとりの人間として
誰かに受け入れてもらったり
また…誰かを受け入れるということは
当たり前のようでいて実はそう簡単なことではありません
価値観がみんな違うってことをアタマでは分かっていても
その違いを尊重し合えるかどうかはまた別問題
何とも太平楽なドリス・・・
麻痺した足にわざと熱い紅茶をこぼしてみたり
下の世話にぎゃあぎゃあ騒いだり
デリカシーの欠片もなく性欲はあるの?なんて聞いてみたりします
はらはら際どい言動ばかりだけれども
身体の自由がきかないフィリップだってひとりの人間
そうやって「ふつうに」接してもらうことで
諦めていた何か…忘れていた何かを
すこしづつ取りもどしてようやく
死に死に人間から生まれ変われるのです
ドリスもまた…複雑な家庭環境のなかで貧しく育ち
社会的弱者としての生活を強いられていたわけで
フィリップにありのままの姿を受け入れてもらうことで救われます
ふたりは…出逢うべくして出逢ったふたりなのだとワタシは思います
お涙ちょうだいどころか 2人のやりとりには笑いっぱなし
Earth, Wind & Fire ・・・(ワタシけっこう好き)
SeptemberやBoogie Wonderlandといったハイテンションなファンクが
ビバルディやバッハなどと対照的にうまく使われていて興奮するし
「こんなのオレにも描けるし!」っていう絵画についてや
「さっきのチョコレートケーキは生焼けだ」っていうカフェでのシーン・・・
どれも富裕層との格差を屁とも思わない無垢なトークが
突き抜けるように とことん明るいのです
ドリスが初めて連れて行ってもらったオペラ・・・
彼のするどいつっこみにはお腹よじれます
だんだんと生きる喜びを見出していくフィリップも
夜中に発作を起こしたりします
脳天気に好き放題やっているように見えるドリスだけど
優しくフィリップを見守って 早朝の街へ散歩に連れ出します
これは決してやらされているのではなく
相手を思いやる気持ちが自然とそうさせているもの
ドリスの生まれ持った優しさが光ります
介護の実情というのはそれぞれの国で違うだろうし
この【最強のふたり】に限っては実話に基づいているというので
これは介護を通して友情が芽生える稀な「成功例」なのかもしれません・・・
経済的にゆとりがなければ得るべきものも得られないという
厳しい現実があるってこともちゃんと考えなければいけないですね
ステキな映画です
早速・・・ハリウッドでリメイク権が取得されたようですが
ぜひ多くの方にこのオリジナル版を観てもらいたいですね