今年3月に行われる「方丈記」のエスペラント訳の輪読会の企画と世話役を務めることとなった。
こちらは1936年発行された「方丈記」エスペラント訳の復刻本として原文を追加し、2020年に発行された冊子だ。
輪読会の準備として、エスペラント訳を日本語に変換する作業を行っている。必然的に原文や口語訳、また英訳も参照することになり、結果として方丈記を読み込んでいる。
エスペラント翻訳者は、明治4年生まれの旧制中学の物理学教師であった野原休一氏。日本におけるエスペラントの黎明期に漢籍や仏典などを精力的にエスペラント訳した人である。物理学教師であることから、いわゆる「理系」の人であるものの、古典にも造詣の深い、知識人であった。明治にはそうした人が数多くいたのだろう。