雨を耳で楽しむ | おんぼろ不動産マーケット STAFF BLOG

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じめじめした季節になりました。
今年は例年より11日も早い梅雨入りだそうです。
(そのくせすぐに、梅雨明けしたかの様な晴天に
恵まれましたが…)

雨量の少ないアフリカなど、世界の一部の地域では
恵みの雨となり得るかもしれませんが、ここ日本では、
一般的にはあまり歓迎されていないのが実情です。

降水量は、台風が頻発する晩夏から初秋にかけてが
一番多いものの、その時期を除くとやはり梅雨シーズンが、
もっとも雨に悩まされる時期と言えるでしょう。

この時期は出かけるのもおっくうになりますよね。
そんな日は皆さん、家の中で何をして過ごされますか?

もしかしたら多くの方は、雨戸を閉めきってしまうかも
しれません。

映画鑑賞など、外に出にくいことを逆手に取り、室内での
アミューズメントを選ばれる方も多くいらっしゃるでしょう。


「水琴窟」(すいきんくつ)

という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

水琴窟とは、日本庭園の装飾の一つであり、
水滴が地中の瓶(甕)の中に落ちていき、その反響を
楽しむ音響装置です。

元は、手水鉢(ちょうずばち)と呼ばれる、神前や仏前で
身を清めるための水を入れておく器からあふれ出る水の
排水装置として考案されたものです。

歴史の中では茶道にも取り入れられ、「つくばい」となり、
水琴窟もつくばいの排水処理として、茶庭に取り入れられて
いきました。

瓶(甕)の中の水と空洞のバランス、水滴の落ちる場所によって
音が異なり、まるで琴の音色の様に聞こえることから命名された、
という説がありますが、その真実は明らかになっておりません。

この水琴窟。

どうせ排水処理をするのであれば、そこに音を楽しむ機能も付随させて
しまおう。という考え方が発端です。

それを転用して、天水琴という

「雨を楽しむ」

ための水琴窟も考え出されました。

雨だから雨戸を閉めて外とのつながりを遮断する。という考え方
ではなく、どうせ雨なのだったら、それを積極的に楽しもう。
という事です。

縁側に座って水琴窟の音を聞きながら読書をする時間を想像して
みてください。

何ともゆったりとした、豊かな時間が流れそうではありませんか?

雨の日に除湿機を回して快適に過ごすと、もちろん快適でしょう。
この行為は、とても文明的で、アクティブな感じがします。


日本には、四季があります。
季節ごとに雨の種類も変わります。

どうせ同じ雨の下で過ごすのなら、縁側で水琴窟の音色を感じながら、
雨を耳で楽しむという、文化的でパッシブな方法も、雨の日を楽しく
過ごす為の選択肢だと思います。

日本の年間平均雨量は約1,718mmで、世界の平均雨量の約2倍。
水琴窟という装置が良いのかどうかは人それぞれですが、
雨という、何もしなければおっくうな天気さえも楽しむことが出来る
ような、そんな考え方を持った家は、とてもいい家だな、と思います。

リノベーションでもそれは可能です。

私たちの家創りに対する考え方は、そんなところにあります。


NENGO 空間プロデューサー
和泉



※おんぼろ不動産マーケットメルマガ6月号より転載。
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