この頃テレビで度々インプラントのCMを

目にすることがあります。



「安心安全なインプラント」

「痛みに配慮した優しいインプラント」

等と謳っていますが、はっきり言って

ものすごい違和感を感じます。

医療行為である以上安全に行うのは当たり前。

「優しいインプラント」って何!?驚き

麻酔をして行う治療なんだから、

痛みに配慮するのも当たり前。

あたかも、失った歯の機能を取り戻すには

誰にとってもインプラントが最良の選択だと

誘導(誘惑?)しているなと思ってしまいます。


歯科インプラント治療とは


そもそもインプラント治療とは、

何らかの原因で歯を抜くことになり、

失った歯の代わりになる人工歯を作ることです。

入れ歯やブリッジとは違い、

天然歯(ご自身の歯のこと)と同様に噛めると

言われますが、実際は自分の歯ではないので

完全に同じとは言えません。

80〜90%程度はほぼ同じように噛めますが、

食感を感じることはないため、

噛みごたえのある食べ物は

咀嚼しづらいと思うこともあります。

施術はまず、顎の骨に人工歯根と言われる

チタン製のネジのような物を埋め込みます。


骨の中に埋めるわけですから、


健康な骨がないと、当然埋めることは


できません。


歯科医院によっては、


「持病があっても大丈夫」


「何歳でも施術が可能」


なんて言っているところもありますが、


そんなわけありません!


先ほども述べたように、骨の中に


埋めるわけですから、骨に異常のある方


例えば骨粗鬆症等の持病がある方は


とてもリスクを伴います。


糖尿病もリスクが高く、特に喫煙者


インプラント治療を受けても


予後が悪くなる確率が格段に上がります。


歯周病が進行している方も


インプラントをしたところで結局、


歯周病によってインプラントもダメになる


可能性が高いです。


基礎疾患や服薬がある方は


どんな治療を受ける時もリスクが伴うはずです。


それなのに、「インプラントは大丈夫」


なんてことは、あるはずがないです。


そんな歯科医院は儲け主義の無責任としか


言いようがありません。




介護現場で嫌われるインプラント


インプラント治療を受ける方は


どちらかと言えば若年者より


中年期以降の方が多いです。


それはもちろん、歯がない人や失う人が


若年者に比べて多いからです。


ある日突然、歯を強打して抜けてしまった、


歯が割れてしまった等でない限り、


虫歯、歯周病、もしくは強い咬合力による


破折が抜歯の主な原因です。


インプラントを受けること自体、


もともと歯のケアに問題がある、


(かつてはあった)人なのです。


その人がインプラントをして、高齢になり、


歯科医院に自身でメンテナンスに


通院できなくなったらどうなるでしょう?


認知症になったら??


認知症が進むと、歯磨きを嫌がる傾向が


あります。


きちんとメンテナンスできない


インプラントほど悲惨な物はありません。


プラーク(歯垢)や歯石が溜まり、


除去できなくなると、インプラント周囲の


歯茎は腫れ、やがて膿が出てきます。


支える周りの骨が溶けて、グラグラして


きます。


しかし、天然歯のように簡単には抜けません。


インプラントは構造上、汚れが溜まりやすく


取りづらいです。


どんなに頑張って歯ブラシやフロスを


使っても、細かい汚れはどうしても


取りきれない。


それを介護現場や医療現場でフォロー


するのには限界があります。


よほどインプラントより入れ歯の方が


良かった、という声が介護現場から


聞こえてきているのが現状です。


入れ歯は取り外しができるので、


清掃がしやすく、口腔ケアがしやすいのです。



インプラントの今後の課題


以上のことを踏まえると、


「高齢でも大丈夫」と言い切るのには


疑問があります。


基礎疾患や服薬の有無はもちろんですが


その人が今後、今と同じような生活が


送れるという保証はありません。


高齢化が進むにつれて、どうしても


認知症の人も増えるということは


避けられない事実です。


高齢者施設や介護施設で残りの人生を


過ごす時、口の中が不衛生というのは


食事が摂りづらいだけでなく、


誤嚥性肺炎などを引き起こす原因になります。


インプラントが最良の選択ではなく


最悪の結果を招くことになるかも


しれません。



インプラントを受ける前に


ここまでインプラントが悪者みたいな


お話しをしましたが、私はインプラントが


悪い治療とは思っていません。


失った歯の機能と、審美性を取り戻すには、


やはりインプラントが最善の治療なのです。


しかし、「誰にでも良い」「永久に噛める」


わけではない、とお伝えしたいのです。


インプラントは入れたらお終いではなく、


定期的に歯科医院でのメンテナンス


(専門的なクリーニングや噛み合わせの調整)


が必要です。


そして何より一番大切なことは、


インプラント治療を受けることを


ご家族や親しい人にはお話しして下さい。


インプラントがあることを本人しか知らない


となると、いざ入院した時、施設に入った時に


先ほどお話ししたような最悪の事態を


招きかねないのです。


2022年の厚生労働省の調査によると


「人生の最終段階の医療やケアについて


家族や医療・介護従事者と話し合っている」


という人は、全体の2割ほど。


7割近くの人は話し合っていない


という報告があります。


インプラントのことも含めて、


もしもの時のことを前もって話し合い、


意思の共有をしておくことが、


今後とても重要になってきます。





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