2023/03/21 伊達政宗〔1〕朝明けの巻 読書メモ | 汚事記

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汚い事が記されます。

山岡荘八の『伊達政宗』、1巻のメモです。

新品です。仰向けで読んでもページにゴミが挟まっていたりしないので、自由な姿勢で読めて楽ちんです。

しかし、活字がデカイのですごく読みづらい。絵本みたいでイライラします。だいたい、本を開いた時に版面が美しくないです。ハシラも無いに等しく、汚らしい。やっぱ昔の組版で読みたいです。今のこういう芸術センスは何から何までまるでダメで、いつどこからこうなったのか、一度調べてみたいです。

 

『出生』

伊達藤次郎政宗(梵天丸)の母となる凶悪な義姫が最上から伊達の輝宗に嫁ぐ背景と、政宗が生まれてから少しの説明。

政宗、万海上人とやらの生まれ変わりとされる。

子煩悩でお人よしの父、生まれた息子のために資福寺という寺院を建て、様々な教師を付け英才教育。伊達政宗は他の武将と何か違う所があると感じていたが、このせいか。

父・輝宗、母・義姫、弟・竺丸(つきまる)、従弟にあたる小姓・伊達藤五郎成実(だてとうごろうしげざね)、小姓・片倉小十郎(景綱)、乳母・喜多子(源氏名・政岡)小十郎の異父姉、資福寺の虎哉宗乙禅師、等の紹介。

虎哉と片倉小十郎は『徳川家康』でも語られていたので、名前は知っている。

疱瘡に罹り、命は助かるが左目が潰れるところまで。

 

『生きる価値』

義姫、幼い梵天丸たちを呼びつける。

掌に載せたぶどうを見せ、

「これは幼い頃にお前が木から落ちた時に枝に引っ掛けた目玉だ」

と言い、食べてしまう。

一同、唖然。

何のためにわざわざこんなことをしてみせたのか、ちょっと悩んだ。パッと見、まず息子を嫌っているように思われるが、ふざけたにしてもひどすぎるし、あらゆる角度から考えてみても、ちょっと異質である。実の親子であるから、まあ、戦国武将の母という見方をすれば良いように取れなくもない。

虎哉禅師の性格説明に、

虎三分に猫七分が虎哉であって、虎四分に猫六部が政宗

とあった。これはうまいと思った。

政宗の嫁になる田村の愛姫(よしひめ)の性格描写、

顔だちは京人形のように整っていた。優しくて憐れみ深くて、他人の不幸を聞くだけで双眸にしっとりと涙をにじませ、その悲しみを和歌に詠ずる

と書いてあってウケる。

 

『雪割草』

藤次郎(政宗)と愛姫の婚礼。

藤次郎が引出物に精巧な「ままごと道具」を選んで姫が感嘆する場面が気に入った。政宗の他とは違う一面がよく出ていてすごい。

政宗が生涯、家人の前では横臥しなかった理由が書いてあった。

政宗、十六歳になり初陣が決まるまで。

 

『風雲機熟』

政宗の人生計画。

 

(生涯のことをそろばん立てて生きている武将!)

そんなものは輝宗にとって、考えてみたこともない奇妙な人生だった。

 

と書いてある。おかしい。

 

政宗の句。

  春霞立つを見捨てて行く雁は

     花なき里にすみやならえる

 

戦と経済の関連について説明があり、これはなるほど、と思った。

父・輝宗の隠居、家督相続。

 

『孤独な龍』

十九歳からキレッキレな冴えた戦を見せる政宗。

賢い信長、みたいな?

父・輝宗、政宗の留守中に畠山義継により拉致される。輝宗、おひとよしにも程がある。

政宗が帰ってきたら、父・輝宗、義継ごと銃撃され死亡していた。

 

『人取り橋』

政宗、一晩明けて怒りが湧きかえり下手をうつ。九死に一生。

二千人近い死者が出たと虎哉禅師に叱られ、気絶。

このあたりから秀吉や家康のことがよく出てくるように。

小浜城の政宗、飯坂氏のお蔦を妻妾に。