最初に、この記事では「新規」という言葉を使うことになると思うが、ここでの「新規」はファンになって(ハマって)間もない人に加え、最近そのメンバーの推しになった(要は推し増し・推し変)した人のことも指すことにする。後々定義づけすればいいが私が忘れそうなので冒頭で述べておく。
総選挙が終わり、Twitterでこのような言葉を見かけた。「箱推しが少なくなったような気がする。」そして「箱推し」と名乗るある人はこうもつぶやいていた「箱推しって公式に言い出したから冷めちゃったんじゃない?バルスツイートみたいな感じで。」これはどうなのだろう。確かにバルス祭りなんて言い出して、前々からバルスネタを恒例にやっていた人は冷めたのかもしれない。しかしながらSKEの「箱推し」についてはどうなのだろう。その要因は無きにしも非ずだが、まあこの話題に纏わりついてくるのは何度も聞く「SKEヲタの閉塞感・排他性」であろう。
私の記憶に新しいのは「100%SKE」の発売日のTwitterだ。余談だが素晴らしい本だった。最初から最後までSKEで埋め尽くされたコンサートブック以外の本を私は初めて経験した。ぜひ続編を待ちたいものである。これくらいにしておいて話を戻すと、その日の私のタイムラインにこんな投稿が流れてくる。「自分の推しがいないからといって買わないのはおかしい。」原文ママではないが要約すればこの文意で誤りはないはずだ。加えてその理由として「SKEが特集された本が売れなければ次はない。だからSKEのために推しがいなくても買うのは絶対だ。」というのがあった。私はそれを見て強烈な違和感を覚えた。
SKEを取り上げれば本が売れる。その効果を数字で出せば次もある。なんら間違っていない理屈だ。しかし、それを「買わないのはおかしい」と押し付けることは間違っている。じゃあそれを主張したあなたはSKEが所属する48グループの起用効果のために、48グループのどれかひとつ・ひとりでも載っている雑誌はすべて購入しているというのだろうか。しているなら尊敬しよう。しかしあの日「箱推し至上」の考えを言った人のどれだけがこれをしていただろうか。反論があるならこうだろう。「規模が違い過ぎる。極論だ」と。果たしてそうだろうか。単推しの人がいる。じゅりれなみたいにペア推しの人もいる。6期推しのような人もいれば、チーム推しの人もいる。それを拡張していった結果、いわゆる「箱推し」の人が存在するのではなかろうか。じゃあそのもっともっと延長線上、拡張の結果は48グループ推しになるのだから筋は間違っていない。なにが言いたいかというと、箱推しの人が「じゃあ48グループ~」と言われて極論だと思うなら、単推しの人が「SKE全体~」と言われたとき、それは処理しきれない膨大な世界かもしれないということを認識しているのか問いかけたいのだ。
具体例を出してここまで書いたが、自称「箱推し」の人達が、「箱推し」の型(それも一人一人違う考えの箱推しの型)を押し付けていることに「箱推し」を聞かなくなった(もしかしたら少なくなった)要因だと問題提起する。これはSKEヲタの閉塞感・排他性にも大きくつながるものだと思っている。だいたい上の例に挙げた人に限って「SKEを広めないと」「SKEヲタの排他的なところをどうにかしないと」と言ったりするのだが、結局やってることは、SKEの入口に自分の枠をはめ込んで狭めていることであり、しかもその枠を外そうとする人を躊躇なく叩く。これでは入ろうと思わないし、入っている(入りかけの)人も怖さや息苦しさを感じて出て行ってしまうかもしれない。
ここで一つ筆休めをしよう。SKEヲタは複数人どころか、実数を測るのが困難な数の人数であることは間違いない。その中でやはり「支持される人」や顔の広い人は当然出てくる。逆に支持されない人はヲタでいうと「厄介」だ「ピンチケ」だと揶揄されることが多い。Twitterでいうとフォロワー数の多い人などは顔が広いといって差し支えないだろう。そのような「支持されている人」は、世論(といっては大げさだからヲタ界の意見)を形成するきっかけになりやすい。いわゆる「オピニオンリーダー」である。このオピニオンリーダーが重要なのである。上で挙げた話はSKEのオピニオンリーダーともいえる人が仕掛けたものでもあった。RTしてdisる。disRTってやつだ。オピニオンリーダーは他の人よりもフォロワーが多いため、拡散される。そして言い方は悪いがその人の「腰巾着」は右と言えば右の意見、つまり絶対に賛同する。それをオピニオンリーダーはRTする。逆に反対意見が来てもそれはRTしない。RTはあくまでも賛同意見のみ。こうして、オピニオンリーダーしかフォローしてない人には、最初の晒し上げされたツイートと、それをdisるオピニオンリーダーのつぶやき、それに賛同する大量のツイートが流れる。まるで集団リンチのように映らなくもないだろう。それを見てどう思うか。怖いなと思えばそこまで、こんなヲタ界とは距離を置こう(SKEヲタやめよう)と思うかもしれないし、自分も叩かれるのが嫌だから腰巾着化するかもしれない。こうして息苦しい閉塞感が形成される。
じゃあ何が正解なのか、「叩かないこと」それだけだ。オピニオンリーダーはあくまでも多数の支持を得ている。それだけの良い人物であると捉えてもいいだろう。そして世論を形成できる。ならばその人はポジティブな発信をする努力をするべきだ。「箱推し」なんだから、これ以上SKEに貢献できるやりがいのあることはないだろうと私は思う。例えば「推しがでてないし今回はパスしよう」そんなツイートを、disRTではなく、RT・引用ツイして、「おっと、○○ちゃんの記事良かったですよ~?せっかくの機会に騙されたと思って買ってみてはいかがですか?」と取り上げれば、あの日のように不必要極まりないタイムラインの荒れ方もすることなく、かつ本当に温もりのある「SKEヲタ界」を形成できるはずだ。
最近では総選挙に合わせて「○○界隈」や「○○選対」がクローズアップされるようになってきた。もともとファンの有志で集まって作られた影の存在が表に出始めたことは少し危機感を抱いている。システム的に管理しやすいとはいえ、mixiという現在主流とは言えないSNSを利用して運営されていることも含め、書こうと思ったのだが前章で書き疲れたのでまた機会があれば書くとしよう。
私は菅原茉椰さん推しがフォロワーにいてたまたま知っているのだが、「菅原まとめ」というTwitterアカウントがある。このアカウントのやり方には、SKEが抱える(というよりもSKEヲタが抱えている?)閉塞感や排他性を打開する要素があるように思う。
まずこのアカウントがなにをしていたか、私も最近このアカウントを知ったところなので詳しくはないが、以下のようなところである。
・菅原さんのブログ・755などの更新通知
・握手会販売等の告知
・公演等の様子の宣伝
・菅原さん推しのツイートをリツイート
だいたいを挙げてみたが、ブログ等のツール更新を通知するのは自動ツイートなどで他の「○○応援アカウント」のようなところもやっていることである。現在SKEメンバーが使える更新ツールは多く、それこそファンも逐次各サイトに行って更新を確認するといった作業は「めんどくさい」と感じる人もいるだろう。その上でこの更新通知がTwitterのタイムラインに流れてくることは非常に便利であり、フォローする価値がある。握手会販売の告知も同様の効果があろう。
というのも、このような「応援・まとめ系アカウント」は何よりフォロワー数が重要な面がある。情報が氾濫しているから、どこかで推しの情報を取捨選択・集約されたものが欲しい。そのようなファンのニーズに応えるものであり、「新規」の人達の拠り所になる可能性も高い。ツイート傾向に一貫性があり、かつフォロワー数が多ければ、SKEの公式ではないもののオフィシャルに近い感覚で、フォローすることへの壁も薄れるというものだ。
重要なのは最後のヲタのツイートも多くリツイートしていた点である。このアカウントは菅原さんが加入したころから応援しているヲタも「新規」の人もそれを問わず、菅原さんについて書かれた応援ツイートや「かわいい!」といったツイートを積極的にリツイートしていた。例えば「新規」の人が新しく菅原さんに興味をもち、握手会や公演に行って「かわいい」「頑張ってほしい」と感想をつぶやく。それをフォロー外から「まとめアカウント」がリツイートすることで「菅原推したち」に入れるかけ橋になる心理作用があると思われる。フォローすれば他のヲタが書いた熱いツイートから、同じく最近興味を持った人たちの同じようにライトな応援ツイートも流れてくる。そしてブログや握手会のことまで宣伝されるわけだから、面白いものであろう。握手会で集会(ファン同士で集まりませんか?)みたいな告知も流せば、「界隈」への窓口も担える。近寄りがたさを感じさせるのではなく、逆に近づく。この構造こそ閉塞感を打開し、ファン層拡大への一つの方法だと私は感じている。
残念ながら「菅原まとめ」は現在管理者の移行を目指す現状であり、リツイートなどは減ってしまったが、このシステムは無くすべきではないと考えている。難しいのは察するが、ガイドライン等を作れば複数者運営も上手くいくはずだ。新しい管理状況になってもできれば今までのようなサービスを維持してほしいと願っている。また私は来年の総選挙に向けて開設された菅原さんを応援するアカウントや、スケジュールを告知するアカウントの存在も承知しているのだが、うまく連携をとって発展させてほしいと願う。
加えて他のメンバーヲタの間でもこのようなものが増えれば、「古参」や「新規」、「単推し」から「DD」「箱推し」なる壁のないボーダーレスな「ファンたち」が形成できるのではないだろうか(今の一部ヲタで形成される界隈とはまた別なもの)。それはSKEのオフィシャルではないものの、ファンならフォローして損はないと思うよ!ぐらいのファンにとっての半オフィシャルな存在になると期待している。
SKEヲタは非常に団結力、横のつながりが強いネットワークを作っている。それゆえ、「新規」からすれば既存のネットワークに入る(感覚としては「割り込む」かもしれない)入りづらさを感じるのは当然の副作用かもしれない。しかしそこを解消し、今よりもオープンにできれば、まだビッグウェーブを起こすエネルギーを秘めている。なぜならSKEのメンバーに溢れる熱があるからだ。
だからこそTwitterなどの「古参」「新規」「単推し」「DD」「箱推し」…いろんな人が見ているオープンなネットワーク上では温かいポジティブな世界を形成することが理想である。自分(の考え方)に反するツイートがあってもポジティブな言葉でカバーできないものだろうか。ネガティブなことを思いついても、それこそ自分の心の中で「つぶやく」だけでスルー出来ないものか。もしどうしてもヲタを叩きたい。ネガティブな言葉をかけないと欲が満たされないというのであれば、仲間内のLINEなりクローズな環境を作ってそこで叩くのでなんとかならないだろうか。私によく気をかけてくれるヲタの人達はポジティブで優しい人達ばかりなのをこれを書きながら実感し、感謝しつつこの記事を〆ようと思う。