「この治療法(あるいは薬)で体調が良くなります、治ります」というものの中に眉唾がいくつも存在する。
乱暴な言い方をすれば、大多数の人に本当に効果があって深刻な副作用がないのなら、科学的根拠がなくてもいいと思う。

現実的には自覚症状がないのに検査数値を下げる目的での薬物療法が蔓延している。予防医学の名のもとに行われているが、国家を圧迫する医療費を考えると、人命を救う対費用効果はどれだけのものか、それが国民最優先の医療なのか、うさん臭い。

高脂血症(脂質異常症)の基準値の低さによるコレステロール利権が典型的な例だが、日本人の心筋梗塞の発症率はアメリカ人の4分の1なのに、年間3000億円分もの薬を多くの「患者」とされた人に飲ませるのが正しい医療とは思えない。

2007年、総コレステロール値による判断は適切ではないとして、HDLコレステロール値とLDLコレステロール値による判断が導入され、疾患名も「高脂血症」から「脂質異常症」に変更された。
しかし、多くの医療機関の検査でいまだに総コレステロール値が採用され、医師もそれを見てコレステロール低下薬を処方するという矛盾が成立している。
要するに、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値も脂質異常症という疾患名も臨床現場に十分に浸透していないということであり、数値的な根拠を鵜呑みにできないということである。

国も医師も人々も製薬会社に踊らされ、仕組みが出来上がり、奴隷化している。

※EBM(evidence based medicine)=根拠に基づいた医療