製薬会社の依頼で過大に仕入れた処方薬を、卸売会社の社員を通じて現金問屋に横流しして、売却代金を裏金としてプールしていたとして、千葉県習志野市の岩波薬局が、東京国税局から約1億円の所得隠しを摘発されていました。

千葉県の調剤薬局が処方薬を現金問屋に横流ししていた問題に絡み、横流しに社員が関与していた医薬品大手卸売会社「アルフレッサ」(東京都千代田区)の別の複数の社員が、病院などに納入する処方薬の一部を無断で現金問屋に横流しし、代金を着服していたことが関係者の話でわかった。
社員らが不正に得た代金は昨年までの数年間で数千万円に上る。同社側は病院などに被害を弁済しているという。

横流し問題では、調剤薬局「岩波薬局」(千葉県習志野市)が、アルフレッサから処方薬を過大に仕入れ、過大分の薬を現金問屋に横流しして得た売却代金計約1億円を裏金としてプールしていたことが、東京国税局の税務調査で判明。
現金問屋への薬の持ち込みは、アルフレッサの社員が引き受けていた。

関係者やアルフレッサ幹部によると、横流しに関与した社員とは別の複数の社員が、病院などに薬を納入する際、薬の一部を無断で東京・神田の現金問屋に売却。
総額数千万円の代金を着服していたという。

『読売新聞』 2014年3月23日付


<引用は以上>


この事件の背景には、ノルマを達成したい製薬会社の社員と卸売会社の社員の思惑、そして、製薬会社社員、卸売会社社員、調剤薬局、現金問屋の4者の利益が一致して、処方薬の不透明な取引が行われていた実態があります。
営業のノルマがキツイのは、どの業界も同じだと思いますが、モノが薬だけに、薬物乱用などの犯罪の助長が懸念される事件です。
現金問屋がどこに薬を売るのか、新聞記事には書かれていませんが、まっとうなルートでその薬が提供されないことは間違いないでしょう。

現金問屋は、「需要」がある薬じゃないと買わないでしょうから、考えられるのは、単価が高い薬や乱用される薬です。
具体的に何の薬か公表しない中途半端な報道ですが、今回の事件は、氷山の一角かもしれません。薬の絡んだ根の深い問題にみえます。


製薬会社と国の癒着構造