福島県民健康管理調査検討委員会が設置した「甲状腺検査評価部会」の2回目の会合は2日、福島市の杉妻会館で開かれた。
昨年12月現在のまとめで、甲状腺がんと確定したか疑いがあると診断された受診者が74人に上っていることについて、部会員から「現時点で東京電力福島第一原発事故との因果関係を示すのは難しい」との意見が相次いだ。
「因果関係を示すのは難しい」とする理由については、環境省が青森、山梨、長崎の3県の一部住民を対象に実施した検査と比較し、甲状腺に小さなしこりの見つかる割合に大きな差がないことなどが挙げられた。
部会員の一部から「原発事故の影響がない他の都道府県の子どもも検査し、結果を比較することで(原発事故との)因果関係が明らかになる」との意見が出た。
これに対し、他の部会員らから「(検査対象となる他都道府県の)住民の不安をあおる可能性がある。(原発事故と)関係のない人を対象にするのは問題がある」との声が出た。
部会長の清水一雄日本甲状腺外科学会前理事長、検討委員会座長の星北斗県医師会常任理事らは終了後、記者会見した。
清水部会長は「対象者が健康手帳を持ち、継続的に調査することが重要になる」と訴えた。
評価部会は、第三者の立場から甲状腺検査の妥当性や結果を検証するため昨年、設置された。
『福島民報』 2014年3月3日付
<引用は以上>
「甲状腺検査評価部会」の部会員どうしのやり取りの中で、太字で示した部分が気になったので、取り上げました。福島から遠い場所の子供と福島県をはじめとする東北の子供とを比較調査するのは、原発事故との因果関係を調べる上で必要なことです。
「(原発事故と)関係ない人を対象するのは問題がある」という意見こそ、問題があって、福島県と遠方の子供との検査比較をするのは、普通に考えて、当然の意見です。
福島県の子供との比較調査だと事前に知らせてから身体検査をすれば、不安をあおることはなく、問題ないのではないでしょうか。
アンケート調査なら、バイアスがかかり、正確な結果が出ませんが、身体検査なら関係ありません。
例えば、沖縄県の子供に調査目的について説明してから検査すれば、不安をあおるとは考えにくい。
第三者の立場である「甲状腺検査評価部会」の部会員の中にも、原子力ムラの息がかかった人物がいると疑ってしまいます。
福島の小児甲状腺がん罹患率が高いかについての議論がありますが、ここで注意しなければならないのは、成人罹患率と小児罹患率をごちゃ混ぜにしてはいけないということです。同様に「罹患率」と「有病者の割合」もごちゃ混ぜにしてはいけない。前者は自覚症状はないが検査の結果、判明した割合で、後者は甲状腺がんの患者の割合なので、両者の数字は異なってきます。
福島を中心とする近隣県の小児甲状腺がん罹患率は、原発事故の4~5年後(2015~16年)に顕著な数字が出るかどうかで判断できるものと考えます。