生活保護世帯に暮らす15~18歳の高校生世代を対象に、通学状況や学校生活などについて調べる実態調査を堺市と関西大学が合同で実施することが5日、分かった。

 

生活保護をめぐっては、世代をまたいで受給を続ける“貧困の連鎖”が課題となるなか、高校生世代に対する支援のあり方を模索する狙いがある。

市によると、受給世帯の高校生を対象にした大規模な調査を行うのは全国でも初めてという。

市によると、行政の支援策などで、生活保護世帯の高校進学率は上昇しているが、中退や不登校などによって就職できず、生活保護予備軍となってしまうケースも少なくなかった。

しかし、これまで実態を示すデータはなく、市は効果的な支援策を検討するため、調査の実施を決めた。

 

調査は、市と関西大学人間健康学部で社会福祉施策を研究する岡田忠克教授が合同で実施。

対象は堺市内に住む高校生世代の子供がいる生活保護の受給世帯約千世帯と、大阪府南部を中心とした公・私立高校と専修学校となるという。

 

方法は、受給世帯に、担当のケースワーカーが赴き、保護者や子供に面会して聞き取りを行う。高校への通学や学校生活の状況のほか、高校中退のケースでは、その後の進路なども尋ねる。

各高校にはアンケート文書を送る。9月中をめどにアンケート項目の詳細を決め、調査を実施。今年中に結果を分析し、効果的な支援の施策を検討する。

 

岡田教授は

「経済的な理由で部活に入らない生徒も多い。部活での人間関係が、中退を思いとどまらせることもあり、部活の入部状況なども調べたい」としている。

また、生活保護世帯の高校生について、岡田教授は「安易に中途退学を選んでしまう人もいる」としたうえで「貧困の連鎖を立ちきり、親の生き方にとらわれず、自分で生きる力をつけるために何が必要なのかを導き出したい」と話している。

 

『産経新聞』 2012年9月6日付

 

親から子への貧困の連鎖は、昔から世界的な問題となっています。

親世代が貧困のため、子どもが進学できず、結果として、子ども世代で貧困が繰り返されるという図式です。

貧困の連鎖を断ち切るには、行政だけでなく、民間団体や周囲の支援が必要です。

すべての生活保護受給世帯がそうではありませんが、中には、親の無責任な生き方が原因となっている場合もあります。

そういう原因で、子どもが貧困を繰り返すなら、それは悲劇です。

 

生活保護制度では、高校の学費は「生業扶助」として支給されます。

ですが、そこから先(大学、専門学校など)の学費は支給されません。

大学進学が困難である生活保護世帯の高校生は、どういう心境でいるのかを調査することで、実情に見合った支援策が立てられるのではないかと思います。

 

今は、お金さえあれば、どこかの大学に入れる「全入時代」で、大学生とは名ばかりの、基礎学力の低い学生が少なくありません。

分数の計算ができない経済学部の学生や、九九をマスターしていない短大生がいます。

まぁ、ゆとり教育の弊害なんでしょうが…。