<2010年12月23日の記事の再掲> 

 

 毎日新聞が「保険証のない子どもたち」を大きく取り上げたのがきっかけに、国民健康保険料未納世帯の18歳未満の子どもにも、短期保険証が原則、発行されるようになりました。(国民健康保険法が2010年5月に改正、7月に本格施行 )

 

 貧困に苦しむ子どもたちの助けになりましたが、長引く不況は貧困世帯だけではなく、より多くの人々に深刻な影響を与えています。

最近、医療現場から、明らかに経済的理由による「診療抑制」と考えられる事例が増えていると聞きます。「保険証は持っているものの、限られた収入の中から数千円の自己負担金のやりくりがつかず、ついつい医療機関から足が遠のく」というケースがじわじわと増えているのです。

 

また、医療機関で、自己負担金の未収も増加しています。医療機関が診察する前に、「前金をお願いします」とも言えず、支払いの時になって患者が「今、手持ちがないから後日支払う」ということで、それが結局、未収になることもあるようです。

大学生の就職状況(就職内定率60%以下)からもいえることですが、今後、日本はさらなる格差社会、二極化社会に進んでいくと予測されます。そうなれば、ますます「診療抑制」現象が増えていくでしょう。

 

 昔は、「中流意識」「一億総中流」といわれたことでも分かるように、みんながそこそこ豊かな時代でしたが、今の日本は深刻な貧困化が進んでいます。政府は、それをごまかすために「子ども手当て」「埋蔵金」などといった聞こえのいい言葉を使っているんです。

貧富の差は思っている以上に大きくなっています。「自分はセレブだ」などと思える人は、ごく一部です。子どもの給食費が払えない、お金がなくて病院に行けない家庭が、珍しくない時代になっているんです。