札幌市がアスペルガー症候群など「高機能広汎性発達障害者」のうち、18歳以上を療育手帳の対象外にしていたことが24日、分かった。

 

18歳を境に担当部署が異なり、部署間の連携が不足していた不手際が原因。

18歳以上の療育手帳が没収されたり、新規申請が却下される例が、市が確認しただけで約5年間に11件発生していた。市は「年齢によって基準が異なるのは問題」として本年度、基準を見直す方針。

療育手帳は厚生省(当時)の通知に基づき、各都道府県と政令市が知的障害者と判定した人に発行する。それぞれが基準を定め、それに合致した場合、年齢を問わず交付する。

取得すると、就労支援などの福祉サービスや、公共交通機関の乗車料割引などが受けられる。

障害判定は、札幌市では18歳未満を子ども未来局の市児童相談所が、18歳以上を保健福祉局の知的障害者更生相談所が担当する。

市によると、手帳発行は知能指数(IQ)75以下が目安だったが、北海道が2003年度に高機能広汎性発達障害を対象に加えたのを機に、市児童相談所も04年度、「IQが高くても知的障害と見なすことができる」として対象とした。これまで約170人に交付した。

 

だが、更生相談所は新基準を取り入れず、18歳以上の高機能広汎性発達障害は基本的に対象外のままだった。当時の職員によると、局が異なり児童相談所と連携できなかった可能性が高いという。

このため、これまで18歳未満で手帳を取得した2人が18歳以上で更新時を迎えた際に手帳を没収され、新規申請した8人が却下された。いずれもIQが高いことが理由だった。ほかに1人が更新時の検査でIQが上がり、手帳を没収された。

11人のIQは90~110程度だったという。

北海道高機能広汎性発達障害児者親の会「ドンマイの会」札幌支部の松浦琴副支部長は、

「大人になったら手帳が取りにくいという相談が相次いでいる。前向きに生きるためにも手帳によるサポートは必要。市は早く是正してほしい」と訴えている。

 

『北海道新聞』 2009年6月25日付

 

<引用は以上>

 

市の不手際ですが、まず思ったのが、IQが平均的な発達障害者も療育手帳が交付されるのは、かなり理解ある自治体でしょう。

知的レベルに問題がない発達障害者は療育手帳が交付されない自治体が大多数です。

(知的障害の判定基準は全国一律ではなく、都道府県によって異なる。そのため、同じ人が居住地によって手帳が交付される場合とされない場合がある)

発達障害の手帳というのはなく(身体・知的・精神のいわゆる3障害のみ)、疾患分類的に精神疾患という位置付で精神保健福祉手帳が交付されるケースは聞きますが、療育手帳が交付されるケースは、私の勉強不足ですが、初めて聞きました。

 

IQは100が平均で、約半数が90~109の間です。(下記グラフ参照)

ちなみに、東大生の平均が120と言われています。

つまり、記事にある広汎性発達障害者のIQが90~110というのは極めて平均的で、発達障害の特性のみで療育手帳が発行されていることになります。

行政レベルで発達障害に対する理解が進んでいるといえるでしょう。

 

 

田中ビネー知能検査Ⅴ 偏差知能指数DIQの出現頻度

※全体の46.8%がIQ90~109の間、さらに言うと全体の78.8%がIQ80~119の間

 

(出典:マミーマイト教室の知能教育レポート:15)

http://www.mammy.jp/chinou/report_15.htm