映画監督の槙坪 多鶴子(まきつぼ たづこ)さん(69歳)が、ノンフィクション作家、門野晴子さんの著書『星の国から孫ふたり バークレーで育つ「自閉症」児』を映画化した。
米国に暮らす孫の成長記。
舞台は日本に置き換えたが、原作の明るさを失わないよう心がけた。
槙坪さんは、20歳代から関節リウマチを患い、車いすでメガホンをとる。
前作までは、母の佐智子さんが現場で車いすを押してくれた。
ところが一昨年1月に89歳で死去。「支え合い、すごい力を出していた」。母との二人三脚の力を改めて思い知った。
気持ちが沈んだが、「自分には映画しかない」と新作の撮影に打ち込んだ。「スタッフに支えられ、乗り切ることができました」。
一方で、互いに守り、守られ、という特別な関係にあった母の代わりがいないことも、痛感したという。
槙坪さんは障害者として冷たい視線を浴びせられたことがある。
門野さんの本では、障害を持つ子供が米国で伸び伸び暮らす姿に感動し、それを「一人でも多くの日本人に知ってもらいたい」と映画化を思い立った。
すべての人の自立と共生という主題は、1作目から変わっていない。公開は秋の予定だ。
『読売新聞』 2009年6月18日付
こういう映画こそ、DVD化、ビデオ化して、時や場所を選ばずに多くの人が見られるようにしてほしいですね。