手作りの封筒や廃食油を使ったエコせっけん作りなどの体験を通して、通所している障害者が就労できるように手助けをしている。自主製品は20品目に及び、障害者の特性に合った製品開発にも取り組んでいる。
障害者自立支援法が施行された2006年、小規模授産所施設「空町作業所」を運営するNPO法人として設立された。07年4月には、家族会が市の補助金で運営していた小規模授産所施設「青葉の家」の運営も任された。
以前は精神障害者が中心だったが、知的障害、身体障害を持つ人たちも加わり、現在は10~60歳代の約40人が両施設で作業にあたっている。
理事長を務める柏木信司さん(44)は岡山県出身。小さい頃に右ひざの関節炎を患い、つえをつきながら小中学校に通った。
「将来は福祉分野へ」と夢を描いていた高校生の時、車いすで楽しそうに学生生活を送っている愛知県の日本福祉大学をテレビで見たのをきっかけに、同大学に進学した。
約2年間に及ぶ歩行訓練の成果で、3年生の頃、つえがなくても歩けるようになった。
卒業後の1988年4月、独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」(本部・東京、旧日本障害者雇用促進協会)に就職し、障害者の職業カウンセラーとして働いた。
旅行で訪れた高山市が好きになり、2004年春から同市内の企業に勤めながら、福祉分野の人脈を広げ、NPO法人設立に一役買った。
通所者は以前まで、施設側が用意したメニューに合わせて働いていたが、今では得意分野を生かしたメニューも新たにできた。木工作業やポストカード作りがその現れだ。
柏木さんはスタッフ8人とともに知恵を出し合い、星やハート形の切り抜きをリサイクルの封筒に張りつけて販売するなど、工夫も凝らしている。
昨年度は通所していた3人が就職した。
通所者は施設内の作業だけでなく、老人施設の介護補助、一般家庭の掃除などもできるようになった。
柏木さんは「小回りが利く施設。これからも通所者の能力向上のために頑張ります」と意欲を見せている。
『読売新聞』 2009年4月20日付
来年1月に社会福祉士国家試験を受けますが、新カリキュラム全19科目のひとつに「障害者就労支援サービス」があります。
障がい者の就労に関してこれまで学んできましたが、就労支援に力を入れるために、国は単独の科目として、「障害者就労支援サービス」をつくったといえるでしょう。
実際に、社会福祉の予算の割り振りは、高齢者施策の方が比重が高かったのが、今後は障害者施策の比重を高くするようです。
誰もが歳を取りますし、ほとんどの高齢者は、若い頃から働いてきましたが、障がい者はそうではありません。
ですから、福祉予算の割り振りを増やすのは当然だと、個人的にも思います。
「親の亡き後」も安心できるような障害者福祉でなければならない。
この点が高齢者福祉との絶対的な違いです。
ハンデがあるということと、歳を取って介護が必要になるということとは、根本的に意味が違うと私は考えます。
医療ソーシャルワーカーを目指していた自分を特別支援学校の教員へと突き動かしたのは、このような思いがあるからです。
だから、睡眠時間を削ってでも、勉強や研究をしている次第です。
自分の人生をかけて、特別支援を必要とする子どもたちと保護者の方、そして、地域に貢献したいと思えるのです。
独身のままで人生を終えるかもしれませんが、それでも構わないと思っています。