親がいなかったり、虐待や養育困難な事情で親と離れて生活しなければならなかったりする子どもを自宅に預かり、養育する里親制度。

保護が必要な子どもが増え続ける一方で、我が国で広がらない制度を拡充しようと、4月から新しい里親委託の仕組みがスタートします。

現在、保護されている子どもの約4分の3(約3万人)は児童養護施設に委託されています。

しかし養育に家庭的な環境が望ましいという考え方があり、欧米などでは施設よりも里親委託が主流の国が多く見られます。

保護した子どものうち里親に委託された割合(里親委託率)は日本は極端に低い。

里親委託の拡充を目指す今回の制度改正では、「養育里親」の質の確保が重視されています。

 

これまでは、本人が18歳になるか、家庭復帰が可能になるまで育てる養育里親と、法的に親子になる「養子縁組」を前提とした里親が混在していました。

新制度では、養子縁組を希望する里親と、そうではない養育里親を分け、養育里親になる人には2度の研修を義務づけます。

さらに都道府県などが養育里親として適当かどうかを調べます。

養育里親名簿登録後も、5年ごとの更新研修を受けることが必要になります。

養育里親への支援も手厚くします。養育相談や一時的な預かりなどで、養育里親を支援する機関を創設します。

里親手当も、月3万4000円から7万2000円(1人目)に増額。

逆に、養子縁組を前提とする里親に対する手当は廃止されます。

課題は養育里親の数の確保でしょう。登録7934人に対し、実際に養育中の里親は2582人(2007年度)に過ぎません。

背景には、虐待などで保護が必要な子どもには、実の親がいて養子縁組できないケースが大半なのに、里親側には養子縁組希望が多いことがあります。

養子縁組を望まない養育里親を増やすことが必要です。

また、里親制度の見直しと同時に、「ファミリーホーム」という新制度も設けられます。

養育者が3人以上いれば、自宅で5~6人の子どもを同時に受け入れることができるものです。大規模な施設とは違う、家族的な雰囲気での養育が可能になります。

 

『読売新聞』 2009年3月19日付

 

 

児童福祉法が改正されます。主な内容は記事にある通りです。

記事にあるファミリーホームについては、2年前、大学の通信課程の児童福祉論の集中講義で、先生が、こういう制度が検討されているとおっしゃっていました。

児童養護施設の大半は子どもが50~100人くらいいる大規模施設ですが、そういう環境では、子どもらしさ、子どもとしての成長が不十分で、ホスピタリズム(施設病)」になり、心身の発達が遅れがちです。

家庭的な雰囲気で育つことが何より大切です。

子どもはやはり、身近な愛情を受けてこそ、成長すると私は考えます。

少子化が進む今、まさに「子は宝」です。

すべての子どもが愛情をたくさん受けて育つ環境は未来への希望につながります。