障害児を対象にした国主体の学齢期の「児童デイサービス」が、市町村主体の「日中一時支援」事業へ移行されようとしている。

これに対し関係団体からの反対もあり、厚生労働省の検討会は「新たな枠組み」での実施を提案し、デイサービスとしての存続の道を残した。

障害児の放課後活動を守るために、大きな前進となるのだろうか。

 

障害者自立支援法施行による報酬カットにより、多くの児童デイサービス事業は経営難に陥っている。

その背景には、学齢期の子どものデイサービスについて、現状では「療育」よりも、保護者の就労などのための「預かり」的な役割が大きいという厚労省の判断がある。

厚労省は、このデイサービスを、「預かり」の性格が強く、一般的に報酬単価が低い市町村主体の「日中一時支援事業」へ移行させようとしている。

これに対して、障害をもつ学齢期の子どもたちの放課後支援をする団体で構成する「全国放課後連」などが国会請願等の運動を展開。

厚労省の「障害児支援の見直しに関する検討会」の報告書には「放課後型のデイサービスとして、新たな枠組み」で実施することを検討するべきだと盛り込まれた。「新たな枠組み」ができたとしても「療育的でないもの」は、市町村の「日中一時支援」事業への移行が原則。

しかし滋賀大学の黒田学准教授(障害児教育)は、「何が療育的か、という判断は難しい。障害の内容や程度によっても違う。重度障害で横になっている状態の子どもでも、集団の中で自然と笑顔が出たり、人とのかかわりが生まれたりする。単純な線引きはできない」という。

 

国が提起した「放課後型デイサービス」

障害児の放課後には一筋の光だが、議論の行方は注視していく必要がありそうだ。

様々な形で、児童デイサービスが障害児の暮らしの要となっている例がある。国や自治体は、そのことも評価する必要があるだろう。

 

『読売新聞』 2009年3月11日付

 

<引用は以上>

 

厚生労働省が、障害者自立支援制度の財政難の解決を優先的に考えているのは明白。

「新たな枠組み」と言っていますが、制度を利用する障がい児とその家族、そしてデイサービス事業をしている施設の負担軽減を最優先に考えるべきです。

介護保険制度にもいえることですが、各種事業(福祉サービス)は、国が主体の全国共通のものと、各市町村が主体で、地域によって違うものとがあります。介護保険制度の地域支援事業と、障害者自立支援制度の地域生活支援事業です。これらは各市町村の裁量に任されています。

つまり、国主体の事業から市町村主体の事業に変わると、サービス内容は変わります。

支援団体がそれに反対運動をしているということは、今までよりサービス質や内容が低下することを危惧している証拠ではないでしょうか?

「療育」が単なる「預かり」になってしまう可能性は否定できません。