〔相談者:東京 パート・35歳〕
小学3年の息子が発達障害と診断されました。
教科書をすぐ理解してしまうためか、授業中に違う本を読んだり、何かをずっといじったりしているそうです。
変わり者と思われて、1年の時からいじめられ、最近はおとなしい子まで無視するようになりました。
診断名を公表してでも理解してほしいのですが、保護者には同じ診断の子の暴れぶりの印象が強くて公表できません。
担任は熱心ですが、普通にやればできる子だと息子のペースを理解してくれません。
学校に進んで通う息子の姿がせつないです。
〔回答者:中央大教授・児童精神科医・上林靖子〕
我が子の学校生活に心を痛め、担任の先生やクラスの仲間に我が子を理解してほしいと願い、同時に保護者の間にある誤った先入観に悩んでいらっしゃいますね。どれも切実です。
問題を解決するには、お子さんのまわりに理解者の輪を作っていくことです。
根気と粘りのいる取り組みになるでしょう。
まず、お子さんの第1の理解者は親です。ここでは親ができることを提案します。
すでに発達障害に気づかれ、診断も受けておられるので、お子さんの長所も短所も理解され、養育されておられることと思います。
診断名だけで理解には役立たないどころか誤解を招くと心配されているのもその通りです。
診断名は、限定された、特徴のある行動しか表しません。
その程度、他の面の特徴を含む発達の全体像を知ることで、理解は深まり、子供への支援の手がかりを知ることができます。
理解者を広げるとしたら、第1は学校で深いかかわりと影響力がある担任でしょう。
あなたの役割は担任の先生に、お子さんのこれまでの発達過程と診断時と最近の評価を説明することです。
「やればできる子」という評価は、これまでのあなたの理解と支えがあっての到達点です。
あなたからの情報提供を受けると、担任の先生は、お子さんの学習時や友達関係の問題など、教育的ニーズを理解する手がかりとなるはずです。
そのためにはまとまった時間が必要で、できたら特別支援教育コーディネーターの先生にも同席していただくようおすすめします。
小学3年生なら、担任がお子さんにどんな目を向けるか、どんな手助けをするかを、他の子どもたちが見ていて取り入れるものです。
学校内で組織的に支援する体制が動き始めています。
保護者の立場から声を上げることが、これを発展させることにもつながるでしょう。
【回答者略歴:かんばやし・やすこ】
国立精神・神経センター勤務を経て東京都内で発達障害を対象とした診療に携わる。
『読売新聞』 2008年10月27日付
保護者の方の声も大事ですが、「教師と保護者との根気強いコミュニケーション」がやはり大切だと、この記事を読んで改めて感じました。
頼りない担任だと思っても、保護者が説明をしていくことで、担任もまた成長し、指導のスキルが上がっていくと、私は考えます。