障害を持つピアニストの世界大会「第2回国際障害者ピアノフェスティバル」(今年9~10月、カナダ・バンクーバー市)=前名称「第2回ピアノパラリンピック」=出場を目指す、自閉症のピアニスト「あっくん」こと吉井章浩さん(19)を先月中旬、1年ぶりに仕事先の作業所に訪ねた。

 

8月に成人となるあっくんは「皆にピアノを聴いてもらいたい」と少し大人になった表情で、意気込みを見せてくれた。

あっくんは知的障害を伴わないが自分が興味を持ったものに固執する傾向などがある「高機能自閉症」右手の2本の指が曲がったまま動かない障害を持つ。

 

5歳からピアノを始め、05年の第1回ピアノパラリンピック(横浜市)に出場。次回大会出場を目指して週1回のレッスンを続けている。

愛媛県今治市の県立今治養護学校高等部を昨春に卒業後、自転車で約5分の小規模作業所「作業所こまどり」に通い始めた。

「地域の人に力を貸してもらい、人間関係の摩擦が少ない生まれ育った地元で」と、母初枝さん(47)が勧めた。

 

作業所メンバー8人の中であっくんは最年少。
織物や木工に一生懸命取り組み、作業所の主任指導員、菅まりさん(61)は「(自閉症の特徴の)周りへの無関心もなく、友達を気遣えている」と目を細める。
あっくんは親の干渉を嫌がるなど「親離れ」が進んだという。
初枝さんは、「ずっと一緒に行動しなくちゃならないかと思っていたのでうれしい」と息子の成長を語る。


初枝さんは、「成人式(来年)を地元で迎えるのが目標だった。これからも目標を持って生きてほしい」と話す。


帰り際、あっくんは「さようなら」と以前よりもしっかりしたあいさつで送り出してくれた。

 

『毎日新聞』愛媛版 2009年1月1日付

 

<引用は以上>

 

高機能自閉症でも能力を伸ばすサポートをしていれば、「あっくん」のように才能が開花する可能性を秘めているんだと勇気をもらいました。

障害のある方にとって、地域の人たちにサポートしてもらいながら地元暮らすということの大切さを感じました。