監督：竹内亮
ナレーション：小島瑠璃子
中国のリアルな社会や文化を捉えたドキュメンタリーを手がける竹内監督が、大河長江を題材に撮りあげたドキュメンタリー。中国大陸を横断するアジア最大の長江。竹内監督は10年前、長江を撮影した際、北極、南極に次ぐ「地球第3の極地」と呼ばれるチベット高原にある「長江源流の最初の一滴」を撮影できなかったことを後悔していた。その後、南京に移住した竹内監督は、2021年から2年をかけて長江6300キロをたどる旅に出る。10年前に撮影した友人たちと再会しながら、長江を通して中国の10年の変化を見つめ、今度こそ「最初の一滴」を記録するべく源流を目指す。
すごく良かった。長江の壮大さと美しい景色、周辺に暮らす人々の素朴な暮らしが見事に映し出されていた。10年前に長江を撮影した時に出会った人々にもう一度会いに行く。既になくなってしまった学校や、ダム建設のため、村ごと移住させられた地域がある一方、引っ込み思案だった女の子がしっかりした経営者になっていた。
10年前のドキュメンタリーに出演したチベット族の女の子、ツームーは村から一歩も出たことがなく、おとなしかったのに今では大きな宿泊施設の経営者になっていた。10年前の番組の企画で上海を訪れ刺激を得たからかな。最後に俳優の阿部力とテレビ電話で話しながらツームーがめちゃめちゃ泣いていたのが可愛かった。彼はツームーにとって初恋の人なんじゃないかなと思った。監督が「妬けるなー」と言っていたのも納得。コロナ禍で、感染が広がったために予定が変更になったり、高山病で生死をさまよったり、大変な撮影だったけれど、映像はとにかく美しかった。
上映後のトークイベントで、竹内監督が言ってたけれど、この10年の中国の変化はものすごいスピードだと思う。これからの10年もおそらくすごい速さで変化し続けるんだと思う。私は中国本土には旅行に行ったことがないけれど、広大な自然やダイナミックな動きに魅了された。いつか行けたらいいなぁ。
☆☆☆☆☆（Ｔ）