青春ジャック 止められるか、俺たちを2 | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:井上淳一
出演:井浦新 東出昌大

 

 若松孝二監督が代表だった若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。1980年代、ビデオが普及し、映画館離れが進む中、若松はシネマスコーレを創設。支配人は文芸坐を辞めてセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも経営危機を乗り越えていく。そこには井上淳一監督ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。

 

 映画愛、そして若松監督への愛にあふれた映画だった。インディーズ映画が盛り上がっていた頃、若松監督が生き生きとしていた時代を、若松監督に弟子入りした井上淳一監督が描いているのだから、実際もこんな感じだったんだろう。映画作品でしか若松監督は知らないけど、ぶっきらぼうながら、優しくて、口は悪いけど、後輩の面倒見が良くて、何より映画を心底愛していたんだろうというのが伝わってきた。交通事故で亡くなってしまったけど、まだまだ作品を撮りたかったはず。今見たら、セクハラ、パワハラ、ブラック企業の働き方と批判されそうだけど、当時の若松プロは勢いがあり、熱かったんだろう。彼の精神は弟子や後輩に受け継がれてこうして形になった。素晴らしいことだ。
☆☆☆☆(T)