監督:金聖雄
川崎市に生きる在日1世のハルモニ(韓国語でおばあさんの意)たちの姿を記録したドキュメンタリー。戦争に翻弄され、生きる場所を求めて何度も海を渡り、ようやくたどり着いた川崎でささやかに暮らすハルモニたち。故郷・朝鮮半島への思いも貧困と差別の記憶も心の底に封印してきたが、老いてようやく文字を学び、歴史を知り、静かに力強く生きている。
川崎は大阪と同様、在日コリアンが多く暮らす街。ふだんは明るいおばあちゃんたちが、戦争で味わった辛い体験を思うと、つくづく戦争は人々の人生を壊すんだと感じた。植民地支配されて日本人に苦しめられて、戦後すぐに朝鮮戦争が起きて多くの人が亡くなった。帰国事業として北朝鮮に渡った人々の苦しみは言うまでもなく、日本に残ってもずっと差別され続け、いまだにヘイトスピーチが続く。本当に苦難の歴史だ。だからこそ、ハルモニたちが訴える戦争反対には重みがある。
☆☆☆(T)