監督:ジェシー・アイゼンバーグ

出演:ジュリアン・ムーア フィン・ウルフハード

 

 アイゼンバーグの初長編作で、ちぐはぐにすれ違う母子の人間模様を描く。DV被害者のためのシェルターを運営する母エブリンと、ネットのライブ配信をする高校生の息子ジギー。社会奉仕に身を捧げる母と自分のフォロワーのことで頭がいっぱいの息子は互いを分かり合えない。そんな2人がそろって、ないものねだりの相手にひかれて空回りするという、親子でそっくりの経験をする。

 

 何が理由か、いつからか分からないけど、すれ違っている母と息子。やることなすこと気に入らない。心の中では仲良くしたいと思っているのに、なぜか言い争いになってしまう。そんな2人が新たな出会いのなかで、相手に気に入られようと、頑張って頑張って、でも空回りしてうまくいかない。親子で同じことをやっているのを見ると、似た者親子なんだ、と笑ってしまう。でも、これはよくあることなんじゃないかな。隣の芝生は青く見える、というけど、自分の息子にもいいところはたくさんあって、他の人から見たらうらやましがられるような息子でも、なかなか認められない。母親に対しても同じ。毎日顔を突き合わせているといいところが見えなくて嫌な部分ばかりが目に付く。

 私も子どもの頃、共働きの両親にあまりかまってもらえなくて、専業主婦の若いお母さんを持つ友達がうらやましかった。授業参観はいつも欠席だったし。でも、広く見渡せば、もっと親にかまってもらえない子や、弟・妹の面倒みないといけない子や片親の子もいたし、新聞を見れば虐待をしている親もたくさんいる。親に限らず、自分の周りにいる人のいい面を探したらたくさんあるはずなんだよね。そんなことを考えさせられた映画だった。映画では、最後に2人とも空回りが分かって、がっかりして帰ってくる。これから親子の接し方が変わるかもね。
☆☆☆(T)