あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:成田洋一

出演:福原遥 水上恒司

 

 汐見夏衛の同名ベストセラー小説を映画化。終戦直前の日本にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の青年の切ない恋を描いたラブストーリー。親にも学校にも不満を抱える百合は、進路を巡って母親と口論し、近所の防空壕跡で一夜を過ごす。翌朝、目を覚ますと、そこは1945年6月の日本だった。通りがかりの青年彰に助けられた百合は、連れていかれた食堂で女将のツルや勤労学生の千代、彰と同じ隊の石丸らと出会う。彰の誠実さや優しさにひかれていく百合だったが、彼は特攻隊員で、間もなく命懸けで出撃する運命にあった。


 元々見に行くつもりはなかったんだけど、年末、ちょっと時間ができて、特に見たい映画もなく、ドラマ「ブギウギ」の愛助さん役の水上恒司が出ていたので見に行った。終盤からすすり泣く声が聞こえて、上映終了後にかなりの女性が号泣しているのを見て、びっくっらこいた。私はうるっとも来なかったんだけど…。感受性が鈍くなっているのか?

 

 あんまり没入できなかった。百合は現代ではすごいひねくれてて、ひとり親で一所懸命育ててくれているお母さんに反発してばっかりなのに、戦時中にタイムスリップしたらいきなり素直ないい子になってる。空襲で家族と生き別れた人がたくさんいたのかもしれないけど、素性の知れない百合をみんなが温かく迎え入れるのがすごく不思議。女将のツルがいい人過ぎる。それと、すごい空襲を受けてあちこちで火災が発生している中、百合はなんでわざわざ火の中に向かっていったの?ツルを助けるためなのかなーって思ったら、翌日、食堂は無傷だった。しかも、今にも死にそうな時になぜか彰が助けに来る。どうしてそこにいるって分かったの?

 それと、一番腑に落ちなかったのが、愛する人が特攻隊で出撃するって分かって、なんで止めないのかってこと。もう少しで戦争は終わる、日本は負けるって百合は分かっている。一度、みんなの前で口にしたら、隊員の一人に怒られてしまったけど、本当に大切な人なら、彰が一人の時に話して何とか説得しろーって思ったんだけど。当時も特攻をおかしいと思っていた人はたくさんいたのかもしれないけど、それを口に出したり、できない雰囲気があって、死ぬと分かっていながら送り出した人もいたんだろう。でも、百合は何日に戦争が終わるか知っているし、特攻から逃げても戦後は罪に問われないことも知っているんだからさー。まぁ、こうやって言うのは簡単だけど、実際には難しいのかもしれない。でも、百合に全然感情移入できなかった。彼女はこのタイムスリップで何を学んだんだろう。
☆☆(T)