監督:児玉宜久

出演:北乃きい 小泉孝太郎 森崎ウィン

 

 明治時代の福井県を舞台に、同地でメガネ産業の礎を築いた人々の情熱と愛を描いたドラマ。藤岡陽子の同名小説を映画化。明治37年、麻生津村の庄屋の長男増永五左衛門の妻むめは、育児と家事に追われる日々を過ごしていた。ある日、大阪で働いていた五左衛門の弟幸八が帰郷し、メガネ作りを提案する。その頃メガネはほとんど知られていなかったが、活字文化の普及により今後は必需品になるというのだ。初めは反対していた五左衛門も、視力の弱い子どもがメガネをかけて喜ぶ姿を見て挑戦を決め、村の人々を集めて工場を立ちあげる。

 

 福井県は、メガネの生産が日本で9割以上を占めるほどのメガネ県。その礎を築いた兄弟とその妻が主人公。とにかく悪い人が出てこない。みんなすごく一生懸命、一途にメガネ作りに取り組む。最初いけすかない奴かなぁと思っていた五左衛門はとっても男気のあるいい人だった。義理、人情に厚く、自分たちが貧乏になっても、メガネ作りの為なら、職人の面倒を見る。元職人がライバル会社を立ち上げる時も素直に喜ぶ。こういう考えが県全体でメガネを作るにまで広げられた理由なのかもしれない。出来過ぎのお話のような気もしたけど、清々しい気持ちになった。こういう精神が日本の「モノ作り」を支えているんだろう。

☆☆☆☆(T)