監督:穐山茉由
出演:深川麻衣 井浦新

 元「SDN48」のメンバーで作家の大木亜希子が自身の体験を綴った小説を映画化。元アイドルの安希子は、幸せで充実した人生を歩んでいると自分に言い聞かせながら仕事に励んでいた。しかし、ある日、駅で突然動けなくなってしまう。メンタルを病み会社を辞めた安希子は、仕事もなく、男もなく、手持ち残高10万円という厳しい現実に直面する。そんな時、友人から都内の一軒家でひとり暮らしをする56歳のサラリーマンとの同居生活を提案される。戸惑いながらも安希子は、ササポンと呼ばれるその中年おじさんとの奇妙な同居生活を始める。

 

 原作者の大木亜希子は元アイドルグループのメンバー。グループ卒業後はライターをしている。私みたいな一般人でもSNSの反応は気になるし、滅多にないけど、ちょっとでもネガティブなこと書かれると、何となく嫌な気分になる。ましてや元芸能人だったら、フォロワーの数が多い分、誹謗中傷も多いよね。自分が発信してなくても、とにかくSNSをチェックしていないと不安だったりする。SNSでよく見せようとか、人に「すごい」とか「いいなー」って思ってもらいたいって気持ちは誰にでもある。でもそれが高じると、精神的に不安になっちゃうのも納得。

 疲れ果て、貯金も底をつき、安希子は赤の他人の中年男性ササポンと同居することに。親友の「誰かと一緒にいた方がいいよ」というアドバイスは的確だった。それも、同世代じゃなく、全く価値観が違う人っていうのが良かったのかもしれない。安希子が気にしていることを話してもササポンは「ふーん」ってぐらい。こういうことが続くと、自分が異常なほど気にしていることが無意味だって気づけるのかもしれない。辛い状況に共感してくれる友達も大事だけど、共感しあって、解決策にたどり着けず、2人そろって落ち込むケースもあるかもしれない。

 同居生活のおかげか、安希子は元気になって、ライターとしての生活も軌道に乗ってササポンとの同居を解消するけど、もうしばらく一緒に住んでもいいんじゃないのかなーって思ってしまった。ササポン、素敵なおじさんだわー。
☆☆☆(T)