監督:鶴岡慧子

出演:堀田真由 小林薫

 

 髙森美由紀の小説「ジャパン・ディグニティ」を原作に、不器用な女性が津軽塗職人の父との暮らしの中で自身の進む道を見いだしていく姿を描いた人間ドラマ。青森県弘前市。青木美也子は高校卒業後もやりたいことが見つからず、スーパーで働いている。何をやってもうまくいかず自分に自信を持てない美也子だが、津軽塗職人の父を手伝う時だけは夢中になれた。しかし、父は業界の斜陽と共に気力を失い、家族もバラバラに。美也子は津軽塗の道に進みたいと言い出せずにいたが……。
 

 「高野豆腐店の春」に続き、父娘もの。「高野~」もそうだったけど、こちらも地に足がついていて、地味ながら良作だった。津軽塗を継ぐ気はない兄はとっくに家を出て、美也子は津軽塗を頑張りたいと思っているのに、やっぱり父としては長男に継いでほしいと思ってしまうんだなぁ。そんな父親も少しずつ子ども達の気持ちに向き合い、息子の同性愛にも理解を示すまでになった。対話って必要だね。美也子は話すのが苦手そうだから、こつこつ作業する津軽塗は合っているような気がする。頑張ってほしいと思った。主演の堀田真由が自然体で良かった。

☆☆☆☆(T)