監督:デビッド・ミデル

出演:フランキー・フェイソン エンリコ・ナターレ

 

 無実の黒人男性が白人警官に殺害された事件を映画化。殺害までの90分間を実際の事件とほぼ同時進行で描き出す。2011年11月19日、早朝のニューヨーク。双極性障害を患うケネス・チェンバレンは就寝中に医療用通報装置を誤作動させてしまう。安否確認にやって来た3人の警官に、ドア越しに通報は間違いだと伝えるが信じてもらえない。警官たちはドアを開けるのを拒むケネスに不信感を募らせ、次第に高圧的な態度をとるようになっていく。主演のフランキー・フェイソンはゴッサム・インディペンデント映画賞で主演俳優賞を受賞した。

 

 医療用通報装置を誤作動させただけで殺されるなんて、本当に理不尽だけど、実話に基づいていて、忠実に再現した作品。だから本当に怖い。何の罪も犯してなくても殺される。それも警察官に。そして、やっぱりという感じだけど、彼を撃ち殺した警察官は罪に問われなかった。アメリカはやっぱり病んでいる〜。彼が頑なに警察官を室内に入れなかった理由ははっきりとは示されなかったけど、精神疾患を患っており、過去に警官にひどい目に遭ったのかもしれない。いずれにしても、これが白人だったら、富裕層が暮らす地域だったら、こんなことにはならなかったはず。

 

 警察官の1人は最初からチェンバレンに偏見を持っていて「このあたりは治安が悪い、住んでいる人も悪人だ」と思い込んでいるふしがある。アメリカ警察の人種差別は、この事件の後も続発しており、「Black lives matter」運動も盛り上がった。それでもなくならない。元々人種差別的な人が警察官になるのか、警察に入って偏見を持つようになるのか、だとしたら組織として問題がある。組織改革をするべきだという声は上がらないのかな。上がってもやらないのか。
☆☆☆(T)