破壊の自然史 | 3代目大村屋

3代目大村屋

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監督:セルゲイ・ロズニツァ

 

 第2次世界大戦下で連合軍がドイツに対して行った史上最大規模の空爆を題材に制作したドキュメンタリー。大戦末期、連合軍はナチスドイツに対し、イギリス空爆の報復として絨毯爆撃を行った。連合軍の戦略爆撃調査報告書によると、イギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツ131都市に100万トンの爆弾を投下し、350万件の住居が破壊され、約60万人の一般市民が犠牲になったとされる。技術革新と生産力向上によって増強された軍事力をもって一般市民を襲った未曾有の大量破壊の顛末を、当時の記録映像を全編に使用して描き出す。

 

 ロズニツァ作品は結構見ているんだけど、すごく面白いのと眠くなるのと両極端なんだよね。旧アウシュビッツ収容所を訪れる人たちを撮った「アウステルリッツ」はその意欲は買うけど、途中で睡魔に何度も襲われた。「ドンバス」「バビ・ヤール」は結構面白かった。今回のは眠かった〜。戦争でどんどん街並みや自然が破壊され、燃やされていく様子を描いているんだけど、いつ、どこで撮影されたのかも示されないし、その順番もよく分からなかった。もうちょっと分かりやすい説明や動画を入れてほしかった。

 

 パンフレット読んだら、この連合軍の攻撃が市民を巻き込む無差別攻撃の始まりだったのではないか、と言われているらしい。今、ウクライナやガザ地区で繰り広げられている攻撃も「ハマスの基地がある」とか「軍事施設だ」などと理由付けしているけど、とにかく一般市民の死傷者が多すぎる。ナチスドイツへの攻撃が悪い意味でのお手本になってしまったのかもしれない。何十年もたっているけど、その検証はされるべきだと思った。ちなみに、実は同時に公開された「キエフ裁判」の方が見たかったのに、こちらは見逃した(涙)。
☆☆(T)