ミャンマー・ダイアリーズ | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:匿名のミャンマー人監督たち

 

 圧政下のミャンマーにおける市民たちの日常を、ドキュメンタリーとフィクションを行き来しながら描いた作品。民主化への変革が続いていたミャンマーで2021年2月1日、軍事クーデターが発生し、市民の自由と平穏な暮らしは奪われた。軍の弾圧で国内外に情勢を伝えることが困難な中、若手映画作家たちが匿名で結成した「ミャンマー・フィルム・コレクティブ」が制作した。10人の映画監督による短編と、SNSに投稿された一般市民による記録映像をつなぎながら、抑圧された日常を生々しく映し出す。ルリン国際映画祭パノラマ部門でドキュメンタリー賞を受賞した。

 

 抵抗運動に参加するか悩む公務員の苦しみや、妊娠相手が逮捕者リストに入っているため、妊娠を告げられないまま別れるカップルなど、軍政による弾圧を間接的に表現した短編が多かった。市民が撮影した記録映像は、軍政下で市民はどんな様子なのかを知れる貴重な映像だった。母親が逮捕される場面や、デモ参加者が私服の暴力団風の男たちに暴行を受けるところなど、命がけで撮った動画も含まれていた。

 軍政が長引くほど、市民の抵抗する力が弱くなってしまうような気がする。逮捕されたり、亡命したりする民主活動家も増えてくるだろう。改善する兆しは今のところなさそうで、国内で頑張っている人々も、国外から何とかしたいと思っている人たちも、行き詰まっているのが現状なのかも。何か打開策があればいいんだろうけど、私たち日本人ができることって何だろう。
☆☆☆(T)