監督:ルーカス・ドン

出演:エデン・ダンブリン グスタフ・ドゥ・ワエル

 

 13歳のレオとレミは、学校でも放課後も一緒に時間を過ごす大親友だった。しかし、2人の親密な間柄を同級生にからかわれたことで、レオはレミへの接し方に戸惑い、そっけない態度をとってしまう。そのせいで気まずい雰囲気になる中、2人は些細なことで大ゲンカをしてしまう。

 思春期特有の照れや、周りの人からの視線が気になる年頃。本心とは裏腹にあんまり仲良しだと思われたくないと思ってしまう気持ち、何となく分かる。発端は「あんたたち付き合ってるの?」という一言。尋ねた同級生は悪気は無かったのかもしれないけど、LGBTQに対する偏見や揶揄が背景にある。聞かれたレオも同じく。付き合っている訳じゃなく、単なる仲のいい幼馴染なんだから気にしなければよかったのに、もし、そう思われたら嫌だという思いがどこかにあったんだろう。LGBTQへの差別や偏見はまだまだ根強い。

 ちょうどこの映画を見た頃、りゅうちぇるが亡くなった。死を選んだ理由は本人にしか分からないけど、SNSでの誹謗中傷や、周りの不理解が理由だと考えると、周りの寛容さがあれば死なずに済んだ命だったと思うと悲しい。悲劇の後、レオは苦しんで苦しんでレミの母親にやっと気持ちを伝える。これで少しは救われたはず。レオだけが悪かった訳ではなが、それでも彼は一生、この重荷を背負っていかなくてはいけないんだろう。切ないなぁ。
☆☆☆(T)