監督:竹内亮

 

 中国で活動する竹内亮が、ロックダウン後の武漢を取材したドキュメンタリー。2020年1月23日、武漢では新型コロナウイルス対策で、前例のない規模のロックダウン(都市封鎖)が始まった。約1000万人の武漢市民は約3カ月間、外出を禁じられ、人流・物流も完全にストップする。竹内監督はロックダウン解除直後に武漢を訪れ、10人の市民に密着取材を敢行。ロックダウンが彼らにもたらしたものは何だったのか、大手メディアが報じない真実を映し出す。

 

 中国在住のドキュメンタリー監督の作品。武漢は、コロナ以前はそれほど有名ではなかったのに、コロナ患者が最初に見つかったというだけで、世界的に知られるようになってしまった。すぐにロックダウンして、住民は大変そうだなぁと思っていたけど、私たち海外の人には内部がどんな様子だったのか、全く伝わってこなかった。その武漢の様子をロックダウン解除直後から撮影した貴重な映像だ。

 住民は元気そうで、徹底した検査のせいか、マスク無しで食事を楽しむなど、武漢の内側では日常を取り戻したように見えた。でも、武漢産というだけで、物が売れなかったり、亡くなった人の家族は近所でも孤立したり、風評被害はかなり後まで残ったらしい。日本と変わらず、武漢でもコロナのせいで人生や考え方が変わった人が多くいたんだ、と改めて知った。
☆☆☆(T)