監督:瓜生敏彦 ビクター・タガロ

 

 フィリピンの最貧困エリアに生きる子どもたちの姿をとらえたドキュメンタリー。フィリピンで第2のスモーキーマウンテンと呼ばれるゴミ集積所パヤタス地区で、8年以上にわたって取材を敢行。危険な岩山でハンマーを振りかざして砂利をつくる少年、ダイオキシンの影響で水頭症になった少年と少女、荷物運びで背骨が曲がってしまった少年など、過酷な環境下で暮らす子どもたちの生活に密着しながら、さまざまなエピソードを静かに映し出す。

 

 児童労働や児童搾取を静かに告発している映画だね。本来は教育を受けるような年齢の子どもが働かざるを得ない環境はおかしいとは思うんだけど、中には家族のために一生懸命働いて、それを誇らしげに感じているような子もいた。戦後の日本でもこんな家族はいたんじゃないかなと想像した。一方、労働のせいで障害を持ってしまったり、環境汚染で病気になってしまったり、最後は少年兵も映っていたが、これらは貧困がなくなれば経験しなくて済む。日本は戦後、経済的に発展できたけど、ここ数十年、世界の貧困状況はあまり改善してないばかりか、貧富の差がさらに拡大しているような印象を受ける。世界規模の貧困や難民問題、内戦などはどうしたらなくせるのか、私にはまったく思いつかない。本当に難しい問題だと思う。

☆☆☆(T)