オレの記念日 | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:金聖雄

出演:桜井昌司 

語り:小室等

 

 「布川事件」で冤罪逮捕され29年間を獄中で過ごした桜井昌司さんを追ったドキュメンタリー。桜井さんは1967年に茨城県で起きた強盗殺人「布川事件」で無期懲役判決を受け、20歳から29年間の獄中生活を強いられた。2011年に無罪判決、21年には国家賠償裁判で完全勝利を収め、末期ガンと闘いながら、今も精力的に全国を駆け巡っている。桜井さんは獄中にいた頃から多くの詩を書き綴り、逮捕された日さえも「記念日」と呼ぶなど、降りかかる困難を言葉の力で乗り越えてきた。12年間にわたって桜井さんを取材し、不運を強さと優しさに変えて前向きに生きる姿を映し出す。

 

 他の作品でも感じたけど、桜井さんは本当に前向きな人。楽観的で、獄中生活さえも自分のためになった、と言える人はなかなかいないよ。29年間も不自由な生活を強いられて、人生狂わされたら、恨み言の一つも言いたくなると思うけどね。ただ、普段は明るくて、楽観的な彼でも、窓から飛び降りそうになったなど、心的外傷はやっぱり深い。それは拘禁症状が出ている袴田巌さんを見れば明らかだよね。彼の場合、死刑囚だったからいつ執行されるのかという恐怖と戦いながらだったから尚更だろうけど。

 

 桜井さんは歌も上手いし、詩の才能もある。心に響く詩が多い。詩にも明るさがにじみ出ている。ここまで明るくできるのは強さの証拠。末期ガンで余命宣告されたけど、冤罪事件をなくす活動にまだまだ頑張ってもらいたい。

☆☆☆(T)