監督・脚本:森岡利行

出演:高橋克実 富田靖子 白洲迅

 

 直木賞作家奥田英朗の同名小説を映画化。寂れた町で理髪店を営む親子を軸に、過疎化や少子高齢化、介護、結婚難など様々な問題に直面しながらも懸命に生きる人々の姿をユーモラスに描く。炭鉱町だった筑沢町で、理髪店を営む向田康彦。ある日、東京で働く息子和昌が帰郷し、店を継ぐと言い出す。和昌は理容師学校の費用を稼ぐため、運送会社でバイトを始める。そんな中、役場で開かれた地域振興についての会議に出席した康彦と和昌は、過疎化が進む町の活性化を巡って意見を対立させる。

 

 九州の寂れた炭鉱町。理髪店を営む主人公、その家族や友人たちが映画のロケや指名手配犯など小さな出来事にざわめく様子をのんびり描いている。ここまで寂れているともっと悲壮感があってもいいような気もしたけど、みんな小さな幸せに満足している感じ。商店街がちょこっと映ったけど、結構にぎわっているように見えた。主人公やっちゃんが何かを解決する訳でもなく、けんかしたり、失敗したりするのが等身大でよかった。小さな町だとみんなが知り合いでプライバシーがなくて息苦しいケースもあるけど、息子が指名手配されたスナックのママにみんなで差し入れするなど、ご近所同士のつながりでほっこりすることもあるよね。
☆☆☆(T)