監督:ドミニク・グラフ

出演:トム・シリング ザスキア・ローゼンタール

 

 ドイツの児童文学作家エーリッヒ・ケストナーの大人向け長編小説「ファビアン あるモラリストの物語」を映画化。1931年のベルリン。狂躁と頽廃の20年代から出口の見えない不況へと移り、ナチズムの足音が忍び寄る。作家志望のファビアンは、目的のない無為な日々を過ごしていた。女優を夢見るコルネリアとの恋や、親友ラブーデの破滅。世界が大きく変わる予感と不安の中、ファビアンはどこへ行くべきか惑い、焦りを募らせていく。やがてコルネリアは女優の夢をかなえるためファビアンのもとを離れる。

 

 前半、変わった作りで、すんなり話が入ってこなかった。分かりにくいというか、変なナレーションでつまらないというか…。開始30分ぐらいで出て行ってしまったお客さんもいた。後に恋人になるコルネリアと出会い、愛し合うようになった辺りからやっと話が動き出した感じ。見る前は、ナチスが台頭してきた時代ということで、政治的な要素が強い作品なのかと思っていたら、違った。もちろん、当時の街の様子としてナチスの動きは出てくるけど、主人公ファビアンはノンポリで、ナチスからの影響はあまり受けてなかった。ごくごく普通の優しい青年の恋のお話だった。実直で優しいファビアンが恋人と出会い、別れるまでを追った、それだけなんだけど、不思議と飽きなかった。
☆☆☆(T)