監督・出演:原將人 原まおり

 

 映画監督の原將人が妻の原まおりと共に、自宅全焼からの再起を当事者の視点から記録したドキュメンタリー。2018年7月、京都・西陣の原將人監督宅から出火、家は全焼し、家財道具と、50年の映画人生をかけた全作品のオリジナルフィルムや脚本、映画機材が焼失した。火傷を負って入院した原監督に代わり、妻のまおりが家族の様子をスマートフォンで記録。焼け跡から救い出した8ミリフィルムとスマートフォンで記録したデジタル映像を組み合わせ、火災当日の模様と、一家のゼロからの再起への日々をつづる。

 

 自宅が火災に遭った原監督の妻まおりが、家族の様子を録画していたのを作品にまとめた。火災は人の命を奪うし、全てを燃やし尽くして奪い去る、本当に恐ろしいものなんだよね。出火の原因は明らかにされなかったけど、当時、家には原監督と息子、娘がいたのに、気づいた時にはもう消せないほどの大きさになっていたのもびっくりで、本当に怖いと思った。原監督は新作映画の映像が入ったパソコンなどを取りに炎の中に戻ったために火傷を負った。

 

 消火作業を見守る傍ら、幼い双子の娘が「お腹が減っちゃったー」と訴えるシーンは、子どもらしいなと思った。その後、公民館や仮住まいのアパートでの暮らしでも、2人の天真爛漫な様子が大人たちの心を随分癒したんじゃないかな。ただ、2人とも「怖かった」と話す通り、恐怖の記憶もある訳で、大人も含めて早く癒えるといいなと思った。火災で被災した家族のその後ってだけのお話なんだけど、火災被害者がどんな経験をするのか知らなかったから、それを知れたのは貴重だった。焼け跡から拾い集めた8ミリフィルムはかなりの部分が燃えてしまい、目に見える形の思い出は消えてしまったけど、家族の絆は深まったのではないか、と勝手に想像してしまった。

☆☆☆(T)