監督:五百旗頭幸男 砂沢智史

語り:山根基世

 

 富山県のテレビ局が富山市議たちの政務活動費の不正受給を報道、追及していく様子とその後を描いたドキュメンタリー。富山県のローカル局チューリップテレビは2016年、政務活動費の不正をスクープ。不正は市議会の大多数に及び、半年間で市議14人がドミノのように次々と辞職していった。一連の調査報道で日本記者クラブ特別賞などを受賞した同局が、その後3年間にわたって取材を重ね、放送後の議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえる姿を追う。

 

 とても面白かった。富山県の地元テレビチューリップテレビが情報公開して丹念に調べた調査報道の結果で、さすがだなーと思った。それにしても、次から次へとよく出てくるもんだなぁと思った。「やってません」と嘘をついていた議員が、嘘がバレたとたんに謝る様子は滑稽に見えた。私も日本海側の地方都市に住んでいたことがあるけれど、確かに地方議員の質は低いと思った。嘘をついてもバレないのであればみんなやるよね。この結果を受けて日本一厳しいと言われる条例を定めたものの、辞職せずに居座る議員もいて、効果はどれほどのものなんだろうって思った。

 報道機関としてはこんなにしびれる展開はないと思う。記者たちもやり甲斐を感じてただろうなー。でも、取材の先頭に立ち、メインキャスターを務めていた五百旗頭監督が本来の姿に戻りたいと言って退職してしまったのは、ちょっと唐突だった。報道機関と言えども、会社組織だから、会社と意見が合わないってことはよくあるけど、その辺、もう少し彼の口からはっきり聞きたかった。

☆☆☆☆(T)