監督・脚本:アスガー・ファルハディ
出演:ペネロペ・クルス ハビエル・バルデム リカルド・ダリン

 スペインの田舎町を舞台にしたミステリードラマ。南米に暮らすラウラが妹の結婚式に出席するため、故郷スペインの小さな村に子どもたちと帰省する。姉妹や、幼なじみのパコらと再会し、楽しい結婚式のパーティーが開かれる。しかし会場からラウラの娘イレーネが誘拐されてしまう。身代金の要求があり、親族たちは解決に頭を悩ますうちに、それぞれが疑心暗鬼になっていく。

 犯人が誰かというミステリーの進行と同時に、登場人物の過去と人間関係が少しずつ暴露されていく。なかなか面白かった。犯人探しよりも、過去の経緯やそれぞれが胸に秘めた思いが噴出してくる過程が面白かった。表面上は仲良く取り繕っていても、実は恨みがましく思っていたり未練を感じていたりするのがわかると、誰もが犯人なんじゃないかって思えてきた。元警察OBの男性がいろいろ犯人を推測して「そのことを知っている人が犯人ですね」と言ったら、親族の全員が知っていて、全く手掛かりにならず、バレてないと信じていたのは当の本人たちだけだったというのがものすごい皮肉だね。

 

 最後、あっさり犯人は明らかにされるんだけど、彼らが逮捕されるか、あるいは親族に知られるかまでは描かれなかった。ラウラはかなり自分勝手で、パコが可愛そうだなーって思った。身代金は返してもらえるのかしら?農園も妻も失ったパコが一番の貧乏くじだと思った。切ないなー。
☆☆☆☆(T)