監督:クリスティアン・クレーネスら
出演:ブルンヒルデ・ポムゼル

 ナチス政権の国民啓蒙・宣伝相ゲッベルスの秘書を務めたブルンヒルデ・ポムゼルが、終戦から69年の沈黙を破り、撮影当時103歳でインタビューに応じたドキュメンタリー。1942年から終戦までの3年間、ゲッベルスの秘書として働いたポムゼルは、「あの時代にナチスに反旗を翻せた人はいない」と話す一方で、「ホロコーストについては知らなかった」と語る。近代史最大の戦争犯罪者のひとりであるゲッベルスに誰よりも近づいた彼女の独白を通し、20世紀最大の戦争における人道の危機や抑圧された全体主義下のドイツ、恐怖とともにその時代を生きた人々の姿を浮かび上がらせていく。

 タイトルに「ゲッベルスと私」ってあるけど、ゲッベルスについての話は少なく、しかも、そのほとんどが見た目とか、演説になると人が変わったとか、上辺だけのことばかりだった。彼の人となり、考え、なぜヒトラーに傾倒したのか、その辺は皆無。これ、邦題が内容に合ってないような気がするな。

 ポムゼルは「強制収容所の存在は知っていたけど、虐殺の事実は知らなかった」と話す。本当のところは分からないけどね。ナチスの上層組織で働くきっかけも単にお給料が良かったから。その仕事を得るために、党員になった。その手続きにユダヤ人の友人と一緒に行くって、あまりに状況把握できてないよね。だけど、これが当時のドイツ国民の一般的な考えだったのかな。親類にユダヤ人がいなければ、ユダヤ人に対して特別な感情がなくてもナチスのやっている行為に反対も否定もしない。自分に火の粉がかからなければ、言われたことを淡々とやるだけ。国民一人一人のそんな態度が国を挙げてナチスを支持する結果につながったのかもね。
☆☆☆(T)