苦い銭(中国) | 3代目大村屋

3代目大村屋

映画・ダンス・旅行を中心に、日々感じた事を…

監督:ワン・ビン

 

 縫製工場で働く労働者たちの姿から現在の中国の側面を描き出すドキュメンタリー。15歳の少女シャオミンは故郷雲南省から東海岸の浙江省湖州にやってくる。この街は住民の80パーセントを出稼ぎ労働者が占め、シャオミンが働くこととなる縫製工場にも出稼ぎ女性たちが働いている。経済急成長を遂げ、経済大国となった中、1元の金に一喜一憂する人びとが数多く存在する中国のもう一つの現実。カメラは労働者たちの表情を記録していく。第73回ベネチア映画祭オリゾンティ部門脚本賞、ヒューマンライツ賞を受賞した。

 

 普段、ニュースで見る中国は北京や上海などの大都市が多く、裕福な人が多そうなイメージ。海外旅行先や日本のデパートで爆買いする中国人をたくさん見るけど、まだまだ貧しい人がたくさんいるんだって改めて思った。経済成長は一部の人を裕福にしたけど、貧富の差は拡大したんじゃないかな。ものすごい早さでミシンがけをして、1分ほどで1着を仕上げていく、機械みたいな仕事ぶりだけど、工賃は安いんだろうな。以前、バングラデシュの縫製工場を描いたドキュメンタリー「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」でも感じたけど、今の世界経済は、システム自体が底辺から吸い上げるようにして回っているような気がする。「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり…」って啄木の歌を思い出した。

☆☆☆(T)