監督:ホ・ジノ

出演:ソン・イェジン パク・ヘイル ユン・ジェムン 戸田菜穂

 

 大韓帝国最後の皇女・徳恵(トッケ)翁主の生涯を描いた歴史ドラマ。日本統治時代、大韓帝国の初代皇帝・高宗の娘である徳恵翁主は13歳で日本へ留学させられてしまう。祖国へ帰ることを心待ちにしながら大人になった彼女の前に幼なじみであるジャンハンが現れる。ジャンハンは徳恵と彼女の兄である皇太子の上海への亡命計画を秘密裏に練っていた。

 

 実在した徳恵翁主だけど、映画では大胆にフィクションを織り交ぜでいる。彼女が日本に留学させられて、日本人貴族と結婚、子どもを産んで、戦争終結後もしばらくは韓国に帰国できなかったという骨組みの部分は史実だけど、彼女を亡命させようと頑張るジャンハンや、その亡命計画も監督のオリジナル。でも、結果的にこれがすごく良かったと思う。

 

 ついこの間見た「ザ・ダンサー」のフラーも実在の人物で、フィクションの部分もあったんだけど、何となく彼女の生涯があまりドラマチックじゃないから盛り上がりに欠けたなーって思ったのと対照的に、これはフィクションの部分が有効で、とにかく激動の人生って感じに仕上がっていた。涙腺崩壊の場面がいくつもあった。彼女は戦争によって人生を翻弄された悲劇の皇女であるのは間違いないと思うんだけど、自分から動いた人ではなかったんじゃないかな。でも、映画では反日、亡命計画への加担など自分の意志で動いている。それが彼女をより魅力的に見せていて、感情移入できて、泣ける場面につながるんだよね。

 

 それと、ソン・イェジンの演技が本当に良かった。喜怒哀楽を体中で表現しているような演技が素晴らしかった。ここ何年かで見た韓国映画で一番の出来だった。

☆☆☆☆☆(T)