『冷たいなんて言わないでよ』

後述


『ごめん世界よ ただ 夢を見ていたの』

きっと叶わないであろう夢=「やってみたかったリスト」を書いていたことを「運命」に対して謝っている(運命は自分を助けてくれたのに、<病室にいる川咲さくら>は「やってみたいリスト」じゃなく「やってみた“かった”リスト」を作ってしまっていたことから、自分が治ることを心の底からは信じられていなかったと考えられる)


『あの時も こんな時も 声を重ねたね
 ひとりのようでひとりじゃなかった』

<病室にいる川咲さくら>は{未来にいてくれるはずの川咲さくら}あるいは{運命はきっと自分を助けてくれないためただ自分の叶わぬ夢の中にいる未来の川咲さくら}に願いを託し、声を重ねていた。未来の自分に今の自分を託せるから、「ひとり」じゃないから、今の自分(<病室にいる川咲さくら>)もなんとか頑張っていられる


『気づいても気づかないふり
 守りたかったんだ』

自分が実際に治らないであろうと諦めてしまっていることに本当は気づいていたけれど、それでも{未来にいてくれるはずの川咲さくら}のことを守りたいから、ずっと明るい未来の夢を見続けることをやめなかった


『もういいか そろそろかな 単純に決められないよ』

{未来を手に入れた川咲さくら}から、<病室にいる川咲さくら>への問いかけ
かくれんぼは探す側が探される側に「もういいかい?」と問うてからゲームが始まるが、{未来にいてくれるはずの川咲さくら}={未来を手に入れた川咲さくら}が物語を始める時、<病室にいる川咲さくら>=<未来にいる自分自身を夢見ていた川咲さくら>に対してちゃんと問いかけていた

『もういいよ そろそろだよ そう あなたが言うなら』

<病室にいる川咲さくら>から、{未来を手に入れた川咲さくら}への許し
かくれんぼは探される側が「もういいよ」と返してからゲームが始まる 始まった

『突然 私 走り出すけど 冷たいなんて言わないでよ』

{未来を手に入れた川咲さくら}は、<病室にいる川咲さくら>がかつて思い描いていた{未来にいてくれるはずの川咲さくら}の通りにはなれないかもしれない。それでも走り出したいから、胸が高鳴るから走り出すことに決めて、つまり<病室にいる川咲さくら>を置いていってしまう。でもそれは<あなた>が許してくれたからで、だから冷たいなんて言わないでよ


『あの日は同じ空の下で
 奇跡がすれ違った瞬間でした
 ありがとう
 変わらないでいることも選べたけど』

川咲さくらが未来を手に入れた日、つまり心臓を手に入れた日、あるいは長瀬琴乃/星見プロ/アイドルと出会った日
色んな奇跡が重なったからそんな未来と出会うことができて、だからもう走り出すことを、変わることを、置いていくことを決意した 決意して、ここまで{未来を手に入れた川咲さくら}を導いてくれた、見送ってくれた<病室にいる川咲さくら>に「ありがとう」と感謝する


『あなたより強くなれたとき
 本当のさよならかな
 ぐっばい』

「あなた」=<{病室にいる自分が思い描いていた、未来にいてくれるはずの川咲さくら}>より{未来にいる川咲さくら}が強くなれた時が、つまり夢を理想を現実が乗り越えた時こそが、本当のさよならである
ぐっばいの語源は「God be with you」神があなたと共にあられますように
未来を手に入れられたからこそ、過去にきっと治らないだろうと半分諦めてしまっていた川咲さくらに向かって、「大丈夫。あなたには運命がついてるよ」と言ってあげられて、ちゃんと「さよなら」と決別して新しい自分として生きることができるようになった


『もういいか そろそろかな
 振り子のようにゆれゆらぐ日々』

振り子は時計が時を刻むたびにゆれゆらぐ存在
つまりかつて止まっていた時間が今どんどん動いていることを言っていて、同時にかつて止まっていたと思っていたあの頃だってちゃんと時間は進んでくれていたことを自覚した
ここでいうかくれんぼにおける「もういいかい」は、

『これが最良だとあなたが言うなら
 いいか そろそろだね 単純でごめんね』

時間は進む。自分だって変わってゆく。大切だと思っていたものを大切にし続けなくていいし、握りしめ続けることが

『じゃあ行くよ 私の声で』

『あれから夢のような時を
 胸の高鳴りと共に歩いてきた
 ありがとう
 気づかないでいることも選べたけど』

『あの時間を 〜あの温もりを〜
 懐かしさに変えていつか忘れそうでも

『これで ぐっばい ぐっばい ぐっばい』


『少し 空が高くなった』
『季節が変わり出した瞬間でした』

『さようなら
 会いたいあなたに会えてよかった』

『まるで私からみたいだけれど
 あなたが決めてたことも知ってた』

『お互いに強くなれたから
 最高のさよならかな』

『ぐっばい』

『もういいよ』