木登り(子供編・ラオス) | 感じる科学、味わう数学

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科学は、自然そのものというより、モデルです。数学は、関係性を捉える枠組みです。
だから、正しいか否かより、大事なのは視点です。

 ラオスのルアンナムターから1泊2日のジャングル・ツアー(トレッキング&村に宿泊)に出かけた。泊まったのは、標高1300mの尾根伝いに広がるアカ族の村。そこでの光景です。

 まっすぐに伸びた木の幹を子供たちがスルスルと登っていく。あっち(上右)でも、こっち(上左)でも。足を掛けるところが見当たらなくて、僕がやってみたが1秒も木にしがみついていられなかった。

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 女の子も登る(下右)。男の子よりは多少控えめだが、就学前の女の子も屈託なく登っていく。
 下左で木に登っているのは、実は僕だ。大木に巻きついた木だか蔓だか根っこだかが足場になって、こちらは登りやすかった。

 ラオスの山の中であろうと日本の街中であろうと重力加速度は 9.8m/s2 で同じはず。その力は子供にも大人にも等しく働く。計算上はそういうことだ。また同じホモ・サピエンスだから、多少の個人差はあるにせよ、体の構造は変わらない。アカ族の子供にできることが、日本の子供にできないはずはない。
 さて、アカ族の子供たちと日本の子供たちの違いはなんだろう。それについていろんな言い方ができるだろうけれど、僕は次の1点を挙げたい。それは、

  木に登ったとき、「危ない」とか「気をつけて」とか「降りなさい」とか、誰にも言われないこと

 日本でこれをやったら、大人たちは口をそろえて「危ないから、やめなさい」と言うに違いない。ところが、アカ族の子供たちに対しては誰もそんなことを言わない。その差だけなのかもしれないな、と。
 僕が木に登ったら、ガイドさんが言った。「Be careful!」(気をつけろよ)。余計なこと言うな。その言葉が日本人を木登りできない民族にしちゃったんじゃないか。そう思いながら、もっともっと上まで行けそうだったが、これくらいで引き下がった。