大人の相対的貧困率【問題編】 | 感じる科学、味わう数学

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科学は、自然そのものというより、モデルです。数学は、関係性を捉える枠組みです。
だから、正しいか否かより、大事なのは視点です。

 中学の数学で、資料の代表値として平均値(アベレージ)と中央値(メジアン)と最頻値(モード)の3種類を扱います。正規分布に近い分布ではこの3つは近い値になりますが、この3つが大きくズレる例を紹介しましょう。
 下図は厚生労働省のサイトで公表している「世帯の所得の分布(2015年)」のグラフです。ただし設問の都合上、文字を伏せている部分があります。

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【問い】 上図の(ア)(イ)ならびに下の文の(ウ)には「平均値」「中央値」「最頻値」のいずれかが入ります。ただし、異なる記号には異なる用語が入ります。
 上図の(ア)(イ)ならびに次の文の(ウ)に入る用語と(エ)(オ)に入る整数を答えてください。

◯ 上の資料の()は()です。

◯ 最近ときどき「子供の相対的貧困率」という言葉を聞くようになりました。「日本の子供の6人に1人が相対的貧困だ」と言われています。
 ところで、相対的貧困とは「収入や所得などが中央値の半分以下であること」を言います。その計算法に従うと、上のグラフから「大人の相対的貧困率」を求めてみると「大人の()人に1人が相対的貧困」ということになります。



《答え》
ア 平均値  イ 中央値  ウ 最頻値  エ 250  オ 5

《補足》
 総務省統計局のサイトで公表している「二人以上の世帯の貯蓄額の分布(2015年)」をみると、上の傾向がさらに強く表れています。


 この資料では、平均値が1805万円、中央値が1054万円、最頻値が50万円、そして「大人の3人に1人が相対貧困」という結果になります。