ミランのHONDA と ベトナムのHONDA | 感じる科学、味わう数学

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 サッカー日本代表の本田選手がイタリア・セリエAのACミランに移籍したことが話題になっているが、ベトナムで「HONDA」というとモーターバイクのことを言う。ホンダ社製のバイクに限らず、ベトナムではヤマハ製も中国製もモーターバイクはすべて「HONDA」と呼ばれている。おそらくホンダ社製のバイクのシェアが大きかったり、あるいは当初ベトナムに入ったのがホンダ社製のバイクだったりしたことなどが影響しているのだろうけれど、今では「HONDA」という単語がメーカー名としてではなくて、一般名詞として定着している。
 ちなみに、イタリア語がアルファベットで表記するのと同じように、現代ベトナム語もアルファベットで表記する。だから、イタリアで「HONDA」というと本田選手個人を指すが、ベトナムで「HONDA」という文字は一般名詞としてのモーターバイクのことを指す。ご存知のようにベトナムの街にはモーターバイクがあふれていて、だからベトナムの街中には「HONDA」の看板があふれている。バイク修理屋もバイク・タクシーもレンタル・バイク屋も「~~ HONDA」だったり「HONDA ~~」だったりするのである。
 巻き舌での発音が多いイタリア語では「H」の音を出すのが苦手なようでイタリア人が発音すると「オンダ」になっちゃうんじゃないかという気がするのだが、ベトナム人はばっちり「ホンダ」と発音する。ところで、ホンダ社はバイクだけではなくて、車のメーカーでもある。今どきのベトナムにはホンダの車も走っているし、ホンダ車のショールームもある。それでもベトナムで「HONDA」といえば、それは第一にモーターバイクのことを指す。ミランの HONDA とベトナムの HONDA はかくも似て非なるものである。