福祉業界の労務管理について | 愛知県 岡崎市の社会保険労務士 伊東毅(いとうたかし)です。

愛知県 岡崎市の社会保険労務士 伊東毅(いとうたかし)です。

まずは、じっくりとお話を聴かせていただきます。


みんさん、こんにちは。

愛知県岡崎市の社労士 伊東毅(たかし)です。

 愛知県の社労士会では、会員の業務に役立つ研修を随時開催してくれています。無料のものもあれば、有料のものもあります。

 昨日は有料の研修を受けてきました。
 業種別労務管理専門コース研修「福祉業界」というテーマです。福祉業界に精通された社労士の先生が、これまでのご経験やさまざまな統計資料を使い、2時間たっぷりとお話下さいました。

 福祉関係については、自分自身、一番力を入れていきたい業界ですので、一番前の席に座り、聴講させていただきました。以下、特に参考になった点について箇条書きにしてみます。

●福祉業界の介護職員の初任給は他の業界と比べて決して安くない。しかし、昇給の幅がせまいので、30歳代、40歳代になると、他の業界との格差が広がってしまう。結婚を機に退職する「男性」が多いのが特徴。

●社会福祉施設における労働災害の多くは、を痛めたり、転倒事故が多い。

●職員のメンタルヘルスの問題よりも、セクハラの問題が多いのではないか。セクハラは表に全然出てこない。一つの対策として、職場で定期的なアンケートを実施する方法がある(「セクハラを受けたことがありますか?」「セクハラしている場面を見たことがありますか?」などの項目を設定)。
 同時に、「職員が利用者に対して、虐待をしているところを見たことがありますか?」などについても聞いてみると良い。(つねるなどの虐待をしているケースは実際ある)

●感染症対策として、厚生労働省のマニュアルが参考になる。

●職員の家族がインフルエンザにかかった場合、その職員に自宅待機を命じるケース。これは、「事業主都合」になるので、事業主が休業補償するのかどうか?が問題となる。就業規則などにきちんと明示しておく必要がある。

●訪問ヘルパーの労働時間について
 利用者宅でサービス提供しているときは労働時間となるが、次の利用者宅への移動時間や事業所で報告書を書く時間を労働時間としていない事業者もある。これは最低賃金法に抵触するおそれがある。
 対策としては、例えば、サービス提供時は時給1,200円とし、移動時間・報告書作成時間は時給800円とする方法もある。

●平成24年の「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正されて、一定の条件を満たした介護職員にも痰の吸引等の医療行為ができるようなった。これにより、痰の吸引ができる介護職員の争奪戦になりつつある。

●社会福祉法人の就業規則は、従来からの都道府県や市町村に準拠して作成されていることが一般的である。例えば、「休職期間中は賃金が100%支給される」など。民間の施設には、民間の発想を持って、就業規則などを整備しておくことが大切ではないか。

●社労士が事業主に対して、どのようなサポートができるか。本で勉強するよりも、現場を見せてもらう方が良い。


 私は、毎月、福祉施設を訪問して、利用者のみなさんのお話を聴く「傾聴ボランティア」をさせて頂いております。職員の方と時々、お話をする機会があり、労働環境などについてある程度のことは知ってるつもりでしたが、昨日の研修を聴講して、まだまだ知らないことばかりだと思いました。福祉施設の事業主さんから、労務管理についてのご相談があったら、すぐに現場を見させていただくようにしたいと思います。